【戦国策×現代】組織は老化するという話


組織。

「永遠に存続していて、中の人が入れ替わるから永遠に若々しい」というイメージを持ちがちですが、人並に老化します。もしかしたら人以上に老化するのは早いかもしれません。

世は戦国時代、老化する組織の問題が出ました。
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本題の前にちょっとだけ。こちらの物語を読むための前座みたいなものです。すこしだけお付き合いくださいm(__)m

【戦国策とは?】
古代の中国大陸での戦国時代。その時代での各国の動向や説客(戦略家や外交家、弁論家ら)の働きをまとめて記録した本です。戦国策の編纂は前漢時代(秦の後の王朝)に劉向が行いました。

戦国時代には秦・趙・韓・魏・楚・燕・斉の戦国七雄、宋・東周・西周・中山などの国々がそれぞれの生き残りと天下統一を賭けて争っていました。世に言う「諸子百家」の時代です。

【今回のお話の登場人物】
・武霊王 趙の国の王様。国外からの脅威に対抗するために国内改革を志向する。
・牛賛 武霊王の臣下。

ではお話をはじめましょう!

胡服騎射始まる。


時は中国の戦国時代。趙の国では国内政治と軍事制度の改革が開始されます。世に言う「胡服騎射」(こふくきしゃ)です。

※こふくきしゃについては

・【戦国策×現代】人は常識に拘束されるという話: わかる!航空自衛隊。 http://koukuujieikan.seesaa.net/article/446325157.html

をご覧ください。

政治と軍事の改革によって勢いを得た趙軍は長年、趙に進攻していた胡に攻め込んでいきます。そして勝利した武霊王は部隊司令官などに恩賞を与えることにしました。

今回のお話は、この恩賞をめぐって起こった武霊王と牛賛の論争です。

馬か戦車か


恩賞の付与をきっかけに趙ではひとつの利害対立が表面化します。それは軍内の対立が反映されたものでした。対立軸としては…

騎乗兵 vs 戦車兵

というもの。騎乗兵は武霊王の号令で新しく編成された部隊で、いままで見下していた胡の軍制を取り入れた部隊です。対して戦車兵は古来から編成された部隊、馬に引かれた戦車に兵士が騎乗して戦う部隊です。

恩賞が与えられたのは騎乗兵がメインとなったため、戦車兵からは当然に不満が生じてきます。※戦車は貴族らが乗り込む兵器だったため、貴族としての意識も絡みます。

牛賛、モノ申す


牛賛は武霊王に対して進言を行います。(以下、牛賛は牛、武霊王は武とします)

牛:軍事にはキマリ(戦い方)があり、戦車兵は古来からの兵種、そして趙軍を支えてきました。それを差し置いて騎乗兵に恩賞を与えるのはいかがでしょうか?

武:今は古代とは違うだろう。たしかに当時は戦車兵は活躍したが、いまは戦い方が変わったのだ。

いくら過去に功績があったといっても、今はいま。現状に役に立たない武器な変えてもいいのではないか。

という論争です。戦車は騎乗兵に比べると

1 地形の制約を受けやすいこと(凸凹な地形では戦力減少)
2 運用や維持のコストが高い
(1台につき3人(御者や武装兵士など)程度の乗車が必要、また戦車そのもののコストもある)

3 機動性が劣る(部隊として動き出すのに時間がかかる)

などの特徴があります。この論争の結果はわかりませんが、政策として胡服騎射が行われたこと、戦車が廃れて騎乗兵がメインとなったこと、から武霊王の見通しのとおりになったようです。

成功事例に拘束される-組織の老化の第一歩


戦車兵のお話は中国の春秋戦国時代のお話。現代の軍隊は戦車や軍艦、戦闘機など最新鋭の兵器で武装した組織ですから。

昔のことでしょ、それこそいまはいまの戦い方を考えているでしょ!(^o^)

となるかもしれません。でも意外と軍隊は戦い方に関しては変更を嫌う面があります。なぜなら…

1 戦場での教訓は基本的に過去のこと
2 未知のリスクを犯すよりも既知のことをしたほうがリスクが低い
3 いままで通りのほうが中の人は楽

という力が働くため、戦い方の変更には慎重になります。軍隊は「過去の戦いをみて未来の戦いに備える」ということをしないといけませんが、基本が過去にあるため、過去に縛られやすい面があります。

歴史の例でいえば日本陸海軍です。陸海軍は基本的に第二次日露戦争に備えていた組織でした。そのため太平洋の島々での戦闘に慣れるのに時間がかかり、そのまま押し切られました。また、江戸幕府も同じです(江戸幕府の場合むしろ変化しない・させないことを選んだ可能性もあります)

組織は永遠じゃない


軍隊という組織を例に取りましたが、成功体験や過去に拘束されるのは会社も同じ。

会社の場合は売り方が変わりません。

人口ボーナスで潤った時期のノルマなど、昔の基準のまま、なんとなく営業をしている会社もあります。これは、いつまでも右肩上がりの成長・所得・購買意識を前提にした売上計画、営業目標などです。お店に入った時に見える棒グラフやスローガンはお客さまにとっては「?」でしかないですが、事業所なりに頑張っているのかとは思います。

でも、基のこと、つまり過去の成功事例に基づいた基準からいまを見るということを変えないことにはお客様の不満も働く人の不満も見えないと思います。

例えば各地域で開催される北海道や京都の物産展。

毎度恒例の出店に、いついっても同じモノしか売っていない物産展の場合、お客様は買い物の楽しみがあるはずもありません。自身の中で定番や殿堂入りしたものは通販で買ってしまいます。

それなのに、いつものお知らせに、型通りの優待券が毎度送られてくるだけですから、ダイレクトメールは開封されることなくゴミ箱直行便です。中で働く人も成果が出ないことは知っていても、恒例となった定型イベントをしないと「仕事してないんじゃないか」と睨まれるし、新しいことをするよりも、いつもどおりのほうが楽です。

※別に物産展がダメということではありません。物産展を例に視点の固さと仕事の硬直化を取り上げています。

会社側の基準でお客さんを見るのは確かに楽、いつもどおり・今までどおり・大過なくには最適な仕組みです。どこかで見たような仕組み、そうです、行政機関と同じ仕組みですね。過去・先例・前任者と縛られるものはいっぱいあります。

組織も老化するという原則、昔も今も変わらないようです。組織に振り回されないように自衛するのがいちばんですね。

以上、うさぎの耳(@usaginomimi)でした!m(_ _)m

【うさぎの耳的な今日のポイント】

  • 組織は老化します。

  • 軍隊は過去の戦いから未来の戦いに備えるという難しさがあります

  • 組織は永遠に不滅ではありません。


【戦国策を楽しめる本】
戦国策 (講談社学術文庫)

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戦国策に掲載されている多くのエピソードの中から、役に立ちそうなエピソードに絞って紹介してくれる本です。「漁夫の利」も戦国策から出ています。

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戦国時代を描く作品です。秦から始まる統一戦争と各国を巻き込む動乱、少年の大志や仲間との行動など、楽しめる作品ですよ!

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