【軍事×日本】法律による想定外つぶしが無駄に終わる理由


軍事の法律。

法律すら生活から遠い現状なのに、軍事の法律となるとさらに生活から遠ざかります。

いま、日本の国会では安保法制(政府は平和安全法制と呼称)の議論が行われています。

日本の軍事はどうしても想定外を認めない形になっていきます。今回は想定外つぶしが無駄に終わる理由です。

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想定外をつぶせ!


現在の国会での軍事の法律の審議ですが、いろいろな法律用語が飛び交っていてよくわかりません。存立危機事態とか重要影響事態などの出来事の明確な定義を求めて、政府与党と野党のやり取りが続いてますが、正直、混乱気味です。

いまの日本の軍事の法律の議論、カンタンに見てみると…

現在進行形で起きている出来事に法律から見た名前を決めて、それを実行するときの自衛隊の行動は、事前に法律で書いておいたことのみできる!

ということを話しています。あらかじめ考えられる出来事やパターンの名前を法律で決めて、その後の行動も法律で書いてあることだけで対応しましょう!という審議です。

つまり、法律という明確な形で想定外をなくしていこう、想定外がないから自衛隊の行動もあらかじめ決めておけるよね!ということです。

でも、この想定外つぶし、果たしてうまくいくのでしょうか?

想定外が「撲滅」できない理由


法律による想定外の「撲滅」は最終的には無駄に終わります。飲酒運転の撲滅を法律で主張してもなくならないようにです。では、なぜ想定外撲滅が無駄に終わるのでしょうか?

それは、自衛隊が作戦行動をする(日本から見て)非日常の世界(戦場など)には3つの読めない相手がいるからです。その3つの相手とは…

1 相手方の軍隊(敵軍)
2 地形
3 気象


です。

まずは1の相手方の軍隊です。自衛隊と対峙する相手国の軍隊のことです。相手国軍は日本の法律に拘束される必要はまったくありませんし、むしろ、その弱点を突いてきます(自衛隊は国内法に認められていない行動(国際的には標準の行動でも)をとっていますよ~!日本国民の皆さんいいんですかー?みたいな宣伝を国際的に出せます)

相手国軍の意思や行動を完全に読みきることはもちろん不可能です。だからこそ、常に日本の法律では想定していない「想定外」が発生します。

次は2の地形です。地形は海や山、川、谷に崖などいろいろな地上の造形物です。地形はどちらの味方でもありません。地形は利用したほうに味方します。
法律に「富士山は日本に進入した相手国軍を噴煙で撃退しなければならない」と書いたところで(書くとは思えませんが…冗談です)、知らん振りです。

最後は3番目の気象です。雨や風、雪や晴れなど気象も軍事作戦に大きな影響を与えます。ナポレオンが敗れたワーテルローの戦いでは前日からの雨や戦場での霧、日射などがフランス軍を苦境に追いやりました。日本の例で言えば桶狭間での雷雨、鳥羽伏見の戦いでの霧や強風があります。

法律で想定外を撲滅しようとしても相手国軍・地形・気象という読めない相手がいる以上、想定外をなくすことはできません。

軍事分野での法律の役割


想定外をつぶせない法律なんて意味ないじゃないか!と思われる方もいるかもしれません。軍事の法律の意味は想定外をつぶすことにあると思えば無意味ですが、軍事の法律の意味は別のところにあります。

軍事の法律の意味は…

1 軍隊の行動を合法化すること
2 軍隊の行動を最低限の形で規制すること
3 部隊・兵士の行動を法的に守ること


にあります。

1の軍隊の行動の合法化は、戦争が人類社会にとっての紛争(のとりあえずの)解決手段のひとつということからきています。

戦争が何でもありの無法(実際はそうなる可能性は高いですが)なら、ルールなんて無用となりそうですが、手段のひとつとなっている以上はルールは必要です。そうでないと終わるものも終わりません。

ルールがあることで、当事者双方が国際法違反を非難しあって、何らかの行動を抑制できる可能性に賭けているのが現状です。

2についても上記と同じ理由と軍隊の行動自体にかかわる理由からです。紛争をとりあえず解決する手段のひとつというのが理由。

もうひとつは、軍隊が行動するのは想定外だらけの場所なので、あらかじめ法律でこれはA、あれはB、Aが起きたらCの動きをして、BならDで動け!と決めてしまうと、軍隊が軍隊としての仕事が出来ないからです。戦場は現在進行形で動き続け、相手国軍は自由に動いてきます。

最後に部隊・兵士の行動を法的に保護することです。軍隊の作戦行動は合法的な正当な業務です。その結果生じた損害については、出動を命じた国家に責任があります。その責任を部隊や兵士個人に押し付けないための仕組みです。

※命令に基づかない行為は兵士個人の責任となります。あくまでも正当な業務行為として行われた行為を保護します。

想定外を認めましょう!-グローバルスタンダードのすすめ


日本の軍事の法律は想定外をつぶす作業の連続です。平時に想定できることをすべて法律に書き込んでおこうという作業でもあります。

ですが、自衛隊が活動する地域は現在進行形で物事が動いていて、法律で想定されていない出来事もよく起きます。以前に自衛隊が派遣されたルワンダPKOでは法律に書かれていない事態への対応に苦労したことが分かっています。

軍事の法律のグローバルスタンダードは「最低限これはしてはダメ! ダメなこと以外は自由に行動してください」というものです。捕虜の虐待や民間人への攻撃などはしてはいけないが、それ以外は軍隊が自由に動くことを認めています。

軍事分野でのグローバルスタンダード化は今回の安保法制では対象外ですが、本来はグローバルスタンダードの話の方が必要です。その上で自衛隊の仕事の大枠(戦う必要性や方向性など)を議論することが求められているはずです。

以上、うさぎの耳(@usaginomimi)でした!m(_ _)m

【うさぎの耳的な今日のポイント】

  • 日本の軍事法の議論は想定外つぶしが基本です。

  • 想定外つぶしは無駄に終わります。

  • ポジリストからネガリストへという国際標準化が必要です。


【関連リンク(註)】
・【軍事力】軍事力って何?
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/414351911.html

・【日本×軍事】軍事分野で日本は特別なの?
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/413432236.html
・【軍隊×法律】日本の軍事は法律メイン-法律軍事の怖いこと
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/413148331.html

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