【自衛隊×安保法制】法律より危険を込めて…法律発、自衛隊・自衛官の危険


安保法制。

日本の軍事活動のルールを決める法律の仕組みです。この仕組みで軍事の効用と限界の境界線を決めると同時に、自衛隊と自衛官の仕事上の行動を法的に守る仕組みでもあります。

でも、そんな安保法制から出てくる危険…ありえないはずですが…

今回は法律発の自衛隊・自衛官への危険について、武器使用が個人責任なこと、捕虜に該当しない自衛官、国際的に非難されることです。

※以前にアップした記事ですが、誤字脱字の訂正、文章の修正などをしました。(平成29年2月15日)
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軍隊の法律の基本-ネガリスト


危険に入る前に軍事の法律の基本を再確認です。

軍隊の法律のあり方はネガリストという形を基本にしています。ネガリストとは、軍隊の作戦行動は原則として自由に何をしてもいい、でも最低限してはいけないこと(捕虜虐待や民間人への攻撃、略奪など)だけを決めておきます、という仕組みです。

軍隊がネガリスト方式で作戦行動をする理由、それは軍隊が戦場など非常事態の場所で行動するからです。戦場などは敵や自然現象など想定外だらけ、法律で事前に想定されたこと、法律に書かれたこと以外のいろいろなことがたくさん発生します。

そもそそ法律は想定外のことは書けませんし(わからないことは書きようがない)、書かれていることは過去の事例ではこうだった!ですから、現在進行形の状況には対応できません。また、これだからAとか、こうだからBとはっきり定義づけできないのが非常事態の場所です。(法律は定義が肝心です)

ちなみに自衛隊の場合はポジリスト方式です。あらかじめ用意された法律に書かれていることだけしてもよし!という仕組みになっています。

法律による危険


本来は自衛隊や自衛官の活動を法的に保護するための仕組みである安保法制ですが、実は自衛隊や自衛官を危険にさらす形になっているのが現状です。

日本の軍事の法律が自衛隊や自衛官にもたらす危険は…

1 武器使用が自己責任
2 捕虜には該当しない
3 放っておくほうが法的には正しいが、社会的には無理


な3つです。具体的に見ていきましょう。

1 武器使用が自己責任という摩訶不思議…

自衛隊は国家命令によって派遣され、国家の命令によって与えられた仕事を行います。その仕事をするための手段として武器を使用することもある訳ですが、この武器を使うかどうかの判断、そして使った結果の責任も自衛官が個人として負うというのが今の仕組みです。

ナイジェリアの事件を受けて話題となった紛争地からの自衛隊による邦人輸送、すでに定着して「いつものこと」となっている自衛隊によるpko派遣でも、基本的には武器の使用は自衛官個人の判断に任されています。つまり「建前では業務命令だけど、実際は個人的・私的な仕事」と会社が命令して仕事をさせている感じです。

別に大丈夫でないの?

と思われるかもしれませんが、実は大事です。なぜなら、国家意思として派遣されている自衛隊部隊の武器使用が隊員個人(ひとり)の判断で行われるからです。また、判断を委ねられる隊員にはものすごいプレッシャーがかかります。「自分が撃ったら法律違反?法律違反なら逮捕されて収監される?」という心理的負担です。

自衛隊は組織として行動することを毎日訓練して、組織行動によって戦う力を作っています。それなのに、一番重要な武器使用は自衛官の自己責任とは不思議です。

撃っても誰も責めないよ…仕方ない

となるかもしれませんが、違法行為とされれば刑事罰を受けるのは隊員本人(執行猶予がついても違法であることは現実)、懲役以上の刑罰を受ければ自衛官の欠格事由に該当して失職、もしくは、その前に懲戒免職でしょう。懲戒処分を受けているので退職金は支払われないとなればふんだりけったりです。

2 捕虜に該当しない自衛官 

1のことは以前からの問題、今回の国会審議でも対象外のことです。2は今の国会で出てきたことです。

岸田外務大臣が、外国軍支援のために活動中の自衛官が拘束された場合、その自衛官は捕虜には該当しないと特別委員会で答弁しました。その理由は…

・自衛隊の海外派遣は戦闘目的ではないから
・自衛隊は紛争当事国ではないから。
・自衛隊の後方支援は戦闘行為ではないから

というものです。

このことも大事です。自衛官が捕虜になれないということ、それは捕虜として受けられる具体的な権利、たとえば尋問には氏名など特定のことしか話さなくていいこと、収容所の作業で金銭を得られること、母国に安否情報を通報させることなどの権利が受けられないということを意味します。

戦闘行動中の他国軍部隊への物資補給などを行う兵站作戦を行っておいて、自衛隊は戦闘で来てるんじゃない!自衛隊ってえらいねと相手国が考えるでしょうか?

捕虜になれない自衛官、それは法律上は「純粋な民間人じゃないけれど、軍人でもない人」という意味です。宙ぶらりんな状態で派遣された人ということになります。

国家意思として派遣された軍事の日本代表の自衛隊部隊の構成員が、民間人以上軍人未満の扱いで、しかも捕虜にはなれないという現状です。

※岸田外務大臣は捕虜には該当しないが国際人道法(戦時国際法のこと。戦争のルールを決めた国際法の集まり)の一般原則には該当するとも述べています。確かに民間人でもなく、軍人でもない人ですから一般原則しかないのでしょう。

3 放っておくほうが法律的には正しい

日本の軍事の法律は先ほどのとおりポジリスト方式です。書かれていないことはしてはいけないですから、現在進行形で発生している出来事が法律に書いていないものだったら、放っておくほうが合法です。

PKOは現状では破綻国家での住民保護のための作戦(破綻国家と保護する責任が流れです)が多くなっています。アフリカなどで増えているケースですが、住民保護のためには撤退できませんし、武器も使うことも求められます。

そこに法律で書いていないからといって武器使用をしないことは国際的には無理がでてきそうです。世論的には「見殺しにした」となることは予想できます。

※今の安保法制ではPKOでの任務遂行型の武器使用(仕事をする上で必要な範囲で武器使用)が認められました。でも想定外だらけの場所でこれだけ!書かれていることだけ!方式が通用するかはギモンです。

自衛隊も大変です…


本当に自衛隊・自衛官は大変だと思います。本来は自衛隊や自衛官の仕事上の行動を法的に守るために作られるはずの軍事の法律から「違法」を突きつけられるからです。

武器使用の判断と責任が自己責任なことは昔から、捕虜になれない自衛官はつい最近のことです。

仕事熱心な自衛官ほど違法行為に該当する可能性が高く、犯罪者として扱われる可能性が高いのですから、法律(を作る政府や国会も)は自衛隊に仕事をさせたいのか、させたくないのかよくわかりません。血圧を抑える薬を飲みながら、同時に血圧上昇の薬を飲んでいるような状態です。

自衛隊は戦闘では相手方と戦い、気象や地形など味方ではない現象を味方につけるために苦労しながら、後ろにはその行動は違法です!放っておくのが合法です!という法律「督戦隊」がいます。

それでも命令があれば出動し、現地などで働く自衛隊部隊です。本当に大変だと思います。

以上、うさぎの耳(@usaginomimi)でした!m(_ _)m

【うさぎの耳的な今日のポイント】

  • 軍事の法律はネガリストが基本です。

  • 日本の軍事の法律はポジリストです。

  • 隊員個人への負担が大きいのが日本の軍事法です。


【参考になる本】
なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか―PKO司令官の手記

ロメオ ダレール 風行社 2012-08
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by ヨメレバ

ルワンダ内戦に関して派遣されたPKO部隊司令官の方の手記です。民族間対立が激化し大虐殺に発展した内戦で、紛争当事者双方に挟まれ、国連も各国もお手上げ状態になったときの部隊は?、住民保護は?、PKOとは何なのか?などの視点を読むことができます。

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