【軍事】議会と軍事の関係ー目的・お金・落とし所


第9、年末年始の演奏会の定番の楽曲です。

日本の軍事での第9は日本国憲法第9条です。

こちらのほうは日本の軍事議論の定番ではありますが、そこで見えるもののひとつが軍事と議会の関係です。

今回は軍事と議会について、その関係性とそれぞれの議論の始まりの違いなど、軍隊と議会を知ることができる本のご紹介です。

自衛隊の軍事的役割が大きくなろうとしている時期です、これを機会に知ってみませんか?!(^_^)

※以前にアップした記事ですが、誤字脱字の訂正や新しい文章の追加などを行いました。(2017年3月22日)
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軍事と議会


軍事と議会、お互いに遠い存在と意識されがちです。日本では軍事力と議会は無関係のような雰囲気ですし、世界の国でも基本的には補助金や年金など生活密着型の議論が多いと思います。

とはいっても軍事も議会も近代主権国家の仕組みの中にあるので、お互いに無関係とはいきません。軍事は政治の延長と言われるコトですから、政治のひとつの形である議会も軍事には関わっていく必要はあります。

日本の議会での軍事の議論は基本的に法律の話です。自衛隊の作戦に関する法律を作ることから始まる軍事の議論ですが、国会の状況を見ていると法律をつくって終わり、あとは政府と自衛隊が自動的に行動して対応完了!(書いてあることは書いてある通り、まったくそのとおりに実現されるんです!みたいな)のような空気・状況もあります。

※現状では政府が作った法案(内閣提出法案)を国会が審議して承認を与えている状況です。国会が「作った(立法)」とはちょっと言いづらい状況ですね。

日本の議会が想定している「法律完成→自動発動→対応完了」のような図式、実際の戦争ではあまり役には立ちそうにありません。たしかに法律から見た軍事では、この図式で終了ですが、実際の現場では現在進行形で軍事が動いている訳ですから。また、議会と軍事の関係は法律だけ!でいいのでしょうか?とも思います。

そこで、今回は議会が軍事に関わるとき、具体的には戦争を始める時、戦争が始まった後、戦争中で議会の動きを見てみましょう。

※紹介する本については…

・新旧いろいろと選んでいます。
・事実関係を把握できて、これからを考えられるような本を選んでいます。
・熟読を必要とするものから、割りと軽く読めるものまでさまざまな本を選んでいます。

戦争が始まるまで



こちらの本は湾岸戦争の開戦前の議会の動きを追った本です。湾岸戦争自体は一昔以上前の話ですが、現在の中東情勢の芽とも言える戦争です。

この戦争に関わった米国議会の動きを見ることができます。今後は日本でも起こりうることですから、米国議会に学ぶことは有意義だと思います。最後まで開戦反対を唱える議員、状況次第と見る議員などいろいろと議員さん達の動きがあり、法律作って終わり・完成とはいかない現実を見ることができます。

戦争をするのか、しないのかというギリギリの判断を迫られる議員さんたち、その人達を選ぶ重要性を理解することもできると思います。

古い本ですが、内容的には古びたものではありません。

戦争が始まった後



戦争が始まった後の議会の仕事、具体的にはお金の支払いを許可することです。戦争での戦闘は軍隊が担当しますが、軍隊が戦うためにはモノが必要です。そのモノを買うにはお金が必要ですよね。また戦場で戦っている兵士への給料の支払いもあります。

戦争ではとにかくお金が動きます。

議会制度を採用する国ではお金(予算)を動かすには議会の承認が必要です。それは戦前の日本の議会でも同じでした。大東亜戦争(太平洋戦争)で陸海軍を動かすためのお金の支出を審議・承認していました。

こちらの本では、軍への予算支出のために特別に認められた会計について書かれています。日本軍が戦闘を継続できたのはお金の支出があったからこそという、とても当たり前の事実が書かれています。

この当たり前のことに、なかなか注目されない危険性に気づかせてくれる珍しい本です。

戦争中の議会



戦争が始まると議会は「何もすることがない」、閑古鳥が鳴く状況になるということはありません。お金の支払いについて審議したり、軍隊や政府の戦争の見通しなど、いろいろと戦争に関わることになります。

戦前の日本の議会については軍部の暴走・独走の「被害者」というイメージがありますが、お金の支出を認めていたという点に関しては「被害者」像は当てはまらいことになります。

斎藤代議士の反軍演説や国会での東條内閣の倒閣運動も、被害者である議会の儚(はかな)い抵抗として描かれる(だからこそ軍部が悪い!というストーリー)ことが多いですが、このことは逆にいえば、議会が相当の影響力を持っていたことを現しています。日常的に議会が軍や政府に対して影響力を持っていたからこそ、反軍演説は影響が大きかった訳ですし、東條内閣も倒れた訳です。

この本ではけっこうな力を持っていた議会の動きを知ることができます。昭和時代に日本が関わった戦争と議会の関係について書かれているので、戦争と議会について、通史としても、具体的な動きとしても知ることができます。

軍事と議会の関係


軍事と議会の関係はどの戦争でも困難さがあります。

軍隊は政治側が決めた戦争目的達成のために最短距離をまっしぐらに進もうとします。軍隊はよくも悪くも「現実」から始めます。

一方の議会は手続きである法律を作成し、軍隊を制御しようとします。その手続きは政治的に妥当なものを目指すもので、軍隊が志向する最短距離とは一致しない可能性もあります。良くも悪くも掲げる理想・目的からはじめます。

違いはあります。でも、軍隊も議会も戦争という現実に立ち向かうことでは同じはずです。

日本の戦後の議会は戦前の「軍部の暴走」(軍隊の政治への過剰干渉)の反省から、政治の軍隊への過剰干渉を引き起こして長いですが、自衛隊の役割拡大によって、今までとおり・例年とおりの自衛隊の制御方法ではうまくいかなくなると思います。

戦前・戦後という区分けにとらわれずに、戦場の現実と政治目的の妥協点を議論することが求められていると思います。そのためには自衛隊は軍事的必要性(予算獲得のための話ではなく)を、国会は政治目的の妥当性と必要性を、お互いに率直に意見交換することが必要だと思います。

以上、うさぎの耳(@usaginomimi)でした!m(_ _)m

【うさぎの耳的な今日のポイント】

  • 軍事と議会は密接な関係があります。

  • 議会は戦争目的、軍事行動への費用支出、終戦などで関わります。

  • 軍隊と議会では議論の始まり方で少しズレがあります。

  • ズレはあっても目的は同じです。

  • タブーの無い議論が必要だと思います。


【関連記事】
・【軍隊×法律】日本の軍事は法律メイン-法律軍事の怖いこと
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/413148331.html

日本の軍事が法律メインなことで起こる面倒なことなどです。

・【軍隊×法律×政治】日本の軍事の法律がズレル理由
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/401890899.html

政治・国民・自衛隊それぞれのストーリーがあります。

・【日本×軍事】軍事分野で日本は特別なの?
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/413432236.html

日本の軍事の話には暗黙の了解があるようです。

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