【軍隊≠警察 #9】「守る」って何を守る?-軍隊・警察それぞれの「守る」の意味


守りたい人がいる。

陸上自衛隊のキャッチフレーズとして使われている言葉です。

この「守る」という言葉は軍隊と警察では意味合いが違うもの、今回は「守る」という言葉から、軍隊と警察の違いをみていきましょう。

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※この記事は軍隊を仕組みとして知るための連載です。前回までの記事はこちらです。よろしかったら(^_^)

#1 知っておきたい!仕組みとしての軍隊

#2 国家or政府!? 軍隊はどこに所属する?

#3 これしかできない or これ以外はしていい! 軍隊の力の使い方

#4 軍隊の3つの力

#5 ふたり以上 or ひとり-集団の軍隊・個人の警察

#6 集団の自衛が軍隊・個人の自衛の警察

#7 Internationalな軍隊 国内な警察

#8 自衛隊は軍隊として仕事ができるのか?

軍隊とは?のおさらい。

+合法的な武装組織(#1)
+国家直属で自前で人とモノを管理する自立型組織(#2)
+「これだけはしちゃダメ。でもそれ以外は自由でいい」という力の使い方(#3)
+混乱のなかから秩序を作り出す(#3)
+組織としての力がある(#4)
+重武装からの攻撃力(#4)
+補給が自前でできる(#4)
+集団で行動する(#5)
+集団として武力を使う(#6)
+国際的な組織で国際標準な行動をする(#7)
+自衛隊は不思議な軍隊(#8)
=軍隊

守る


守る、日常的になじんだ言葉です。その意味は…

侵されたり、害が及ばないように防ぐ。「犯罪から青少年を―・ろう」「身を―・る術」

※・まもる【守る/護る】の意味 - 国語辞書 - goo辞書
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/209637/m0u/

というもの。言葉としては上記のような意味の守るですが、軍隊と警察の違いというフィルターで見ると変わってきます。では具体的にはどう違うのでしょうか?

軍隊と警察の「守る」の違い


軍隊と警察の守るの違いはカンタンにいうと…

・警察の守る → 国民ひとりひとりの財産や命
・軍隊の守る → 国家の独立や主権・領土


です。守る対象が違うということです。国家の3要素とされる主権・領土・国民で見れば、警察は国民を守る(正確には県民ですね)、軍隊は主権と領土を守るということになります。

これは日常生活で見れば緊急通報の電話番号のある無しでもわかります。警察では110番(日本の場合)に電話をかければ個人のために駆けつけてくれます。軍隊は基本的に緊急通報先はありませんし、あったとしてもいち個人の生命や財産のために出動することはありません。(出動については政治側の個別の判断はあるとは思います)

政治的には国民の生命と財産を守るとされる軍隊ですが、これは政治的な用語として使われる面が多いと思います。日本で言う「専守防衛」や「自衛隊」という意味合いです。

軍隊は住民を守らない!?


軍隊に対して向けられる批判の言葉のひとつが「軍隊は住民を守らない」というものです。国土とされる地域で戦闘が行われた場合には、こういう言葉がでやすいと思います。(欧州はしょっちゅう領内で戦闘になっていましたから、その点では慣れているのかもしれません)

この言葉は半分正解、半分不正解な言葉です。軍隊としては個々の住民は守ることはできませんが、進攻してくる相手方の軍事力を排除することで、結果的に住民を守る!ことはできます。

軍隊は攻撃と防御をすることで相手方の軍隊と戦い、直接には領土と主権を守り、間接的に国民を守っている組織といえます。

混同しがち


では戦争のときに個々の住民を守ってくれるのはどういう組織でしょうか?それは警察です。平時であっても有事であっても個々の住民を守るのは警察のお仕事です。戦争中だからといって犯罪が許されることはありませんし、警察も国内の秩序の維持は継続しています。

戦争となると、どうしても軍隊が目立ってしまうので「なんでもかんでも軍隊」となりがちですが、警察の役割は大きなままです。

軍隊の役割


軍隊が持っている力(攻撃や防御としての武力、組織力など)は外国の軍隊と国民に向けられています。それを国内で使用することは基本的にありません。国内の騒乱はほとんど警察が対応しています。

軍隊は進攻する・してきそうな相手方の軍隊を軍事力で撃退して領土と主権を守って、結果として国民を守る組織

という点を忘れないことが重要だと思います。この点を忘れてしまうと「なんでもかんでも軍隊」となって軍隊の国内使用が無制限になってしまいます。軍隊は自前でいろいろとできる組織ですから、使えばそれなりのことはできてしまいます。軍隊の国内使用に慣れてしまった場合、国内に軍隊に対抗できる(武力でも組織でも)がほぼ無いため、軍の影響力は大きくなります。

日本では、左右の自衛隊熱視線の方々が、それぞれの考えで自衛隊が国民を「守る・守らない」の強い主張しています。それは自衛隊の必要性・不必要性(国民を守るから必要・守らないから不必要)の意見を補強するための道具となっている感があります。

ここは軍隊と警察の違いを知ることで、左右に振れている守る!?議論を真ん中に戻す必要があると思います。自衛隊に軍隊としての役割を求めるのなら本当に必要だと思います。

※参考記事
石破地方創生担当相が平成26年(2014年)10月18日に行われた講演で発言されています。憲法改正の必要性に言及したあとの発言です。

「国の独立を守るのが軍隊。国民の生命・財産、公の秩序を守るのが警察。軍隊と警察、全く違うのに憲法には全く書いていない」

・時事ドットコム:憲法に「軍隊」明記を=石破氏
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201410/2014101800280(記事は存在していません)

以上、うさぎの耳(@usaginomimi)でした!m(_ _)m

【うさぎの耳的な今日のポイント】

  • 軍隊は領土と主権を守る組織です。

  • 軍隊は領土と主権を守ることで、結果として国民を守っています。

  • 国民を守るのは警察の仕事です。



※この動画は JGSDFchannel さんの投稿です。ありがとうございました!


【参考になる本】
軍隊と警察を知る唯一の本かもしれません。

仕組みとしての戦争を解剖する本です。

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