【軍事×世界】軍事の世界の流行語大賞は?


流行語大賞。

毎年、その年に注目を集めた言葉を選んで表彰する仕組みです。そういえば平成26年(2014年)には「集団的自衛権」という言葉が選ばれましたね。

個人的には軍事の世界の流行語大賞は「領土と主権の一体性」だと思います。

今回はこの言葉について、なぜ重要な言葉になるか?です。

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領土と主権の一体性?


「領土と主権の一体性」という言葉、ロシアによるクリミア半島併合でよく使用された言葉です。ウクライナの領土で管理下にあったクリミア半島がロシアに併合されたことに関して、日米欧各国がこの言葉を使ってロシアを批判、自制や軍部隊の撤退を求めました。

この「領土と主権の一体性」という言葉は…

・その国が支配していた地域には主権が及んでいる。
・現時点でその国が支配している地域には主権が及んでいる。
・領土と主権は一致していないといけない


という意味があるのだと思います。この言葉でロシアを批判することはできますから、言葉の武器として有効とは思いますが、この領土と主権の一体性というのは、それほど明確なものなのでしょうか?

領土と主権が問われている地域を取り上げて、具体的にみていきましょう。

ロシアとウクライナ


ロシアは昔から周辺国との領土紛争を抱えている国です。一説では「ロシア人が住むところがロシア」と言われるように、国境の線引きが柔軟!?に変更されます。昨年にはウクライナが支配していたクリミア半島を併合しましたし、日本などとも領土問題を抱えています。

現在はウクライナ東部への影響力拡大を図っているとみられています。ウクライナ軍と戦闘を行っている武装勢力への支援も噂されています。また、完全に目に見える形では戦闘地域となっているウクライナ東部の都市ドネツクやルガンスクへの支援物資輸送隊があります。

この輸送隊はドネツクやルガンスクに住む住民に食料や医薬品、建築資材などを運ぶもので、ロシアからウクライナ国境を通過して物資が運び込まれています。2014年8月中旬から始まった輸送は合計で1300トンの物資を運んでいます。

ドネツクやルガンスクがあるドンバス地方を拠点に活動する親ロシア武装勢力「ドネツク人民共和国」がウクライナ軍との戦闘を再開、攻勢を強めています。またロシア軍部隊がウクライナ東部に進攻してきているとの報道もあります。

中東-イスラム国


場所は変わって中東です。ヨーロッパ各国の政策により国境線が引かれた中東諸国ですが、いまではその国境線も中東各国の思惑もあって維持されている、はずでした。

はずでした、というのは「イスラム国」が登場したからです。過激派・テロ組織としては異例の存在で、領土の支配を志向している組織なので、いままでの国境線が無視されています。つまり現在のイラクとシリア(またはトルコ)では領土と主権は一体ではないということです。

当初はイラク国内で活動していたイスラム国ですが、シリア内戦の混乱に乗じてシリアに進出しました。油田を制圧して原油を販売、誘拐で身代金を得る、イラク国内の穀物販売などで資金を得ています。

アフリカ-ボコ・ハラム


日本では中東情勢もそれほど注目を集めませんが、それにもまして注目を集めないのがアフリカです。

アフリカ西部では「ボコ・ハラム」という過激派組織が国境線を越えて活動しています。昨年にはナイジェリアの学校を襲撃、女子生徒200名を拉致したことで報道されるようになりました。現在もナイジェリア各地で攻撃を行っています。

最近ではナイジェリア北東部のバガという町にある軍事基地を攻撃(ボコ・ハラム対策で創設されたナイジェリア・ニジェール・チャド各国軍の基地)し占拠、町全体を焼き払いました。死者は数百人から最大で2千人とされています。そして多くの住民が難民化しています。

1月18日にはカメルーンの村を襲撃して女性や子供らを拉致しています。その後もチャドやカメルーンへの攻撃が継続されています。

東南アジア-中国と東南アジア諸国


スプラトリー(南沙)諸島やパラセル(西沙)諸島は中国とベトナム、フィリピン、台湾など周辺国が領有権で問題を抱えています。

昨年5月から7月にかけては中国船とベトナム船が衝突を繰り返し、ベトナム側によれば最近でも漁船が襲撃を受けています。その後の報道でも、中国がスプラトリー諸島での施設建設工事を進めていることが報じられています。

日本の場合


日本が「領土と主権の一体性」の当事者というのは意外と思われるかもしれません。日本は終戦以降ずっと領土と主権が一致しない状況にあります。北方領土、竹島は一致していませんし、尖閣諸島や沖の鳥島は日本の支配への挑戦を受けています。

日本以外のアジア諸国でも領土と主権の不一致はよくあります。台湾に関しては台湾の国民党は中国本土は共産党に占拠されていると見ていますし、韓国も韓国北部を北朝鮮が占拠しているとみなしています。

領土と主権の不一致=軍事力の必要性


5つの地域の領土と主権の不一致を見てきました。どの地域も基本的には軍事力の強弱が絡んでいます。アフリカや中東ではその特徴がよくでています。問題の原因として条約の不備があることはありますが、条約交渉も当事者の力関係が大きな影響を与えています。

こうしてみると、領土と主権が一致するほうが珍しいと思えてきます。世界各国それぞれに領土と主権の不一致を抱えており、ジレンマとイライラ、我慢を重ねながら国際社会が成り立っていることが見えてきます。

また、この不一致は西洋の歴史からから生まれた近代主権国家の概念や仕組みはそれなりの条件を持つ地域でしか機能しないことを教えてくれています。

どちらかといえば、国家という仕組みの維持に関心は薄けれど、国家は永遠に続くことを信じて疑わない(だからこそ公務員になりたいのではないかと)日本では見えにくい世界なのかもしれません。

直接に軍事力を行使した結果、軍事力を背景にした交渉の結果、どちらにしても、群雄割拠で中心点を持たない国際社会では自分のために使用できる力が必要なことは確かのようです。

以上、うさぎの耳(@usaginomimi)でした!m(_ _)m

【うさぎの耳的な今日のポイント】

  • 領土と主権は不一致なことがあります。

  • 世界では争いが厳然と存在しています。

  • 自分のために使える軍事力は必要だと思います。


【関連リンク(註)】
・ドンバス住民のための第11次人道援助物資輸送隊ロストフ州へ出発 - News - 国内 - The Voice of Russia
http://japanese.ruvr.ru/news/2015_01_04/281886640/

・ボコ・ハラム2000人虐殺の恐怖 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/01/post-3516_1.php

・【ウクライナ情勢】和平協議不調で親露派が軍事攻勢 占領地域拡大狙いか (1/2ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/world/news/150117/wor1501170047-n1.html

・米訓練部隊:シリア反体制派戦闘員指導 数百人規模派遣へ - 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20150118k0000e030120000c.html

・ボコ・ハラム、カメルーンで女性や子どもら60人拉致 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/3036875?ctm_campaign=txt_topics

・「イスラム国」対策に120億円支援 日・ヨルダン会談:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASH1L45WCH1LUTFK001.html?ref=rss

・ロシア非常事態省の人道支援隊、ドンバス到着 - News - 国際 - The Voice of Russia
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_12_21/281545719/

・中東の窓 : クウェイト国境の警備強化
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/4806083.html

・シリア難民、14年上半期に70万人増加で世界最多に 国連 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/3035880

・CNN.co.jp : ボコ・ハラム、多国籍部隊の基地を占拠 ナイジェリア
http://www.cnn.co.jp/world/35058585.html?ref=rss

・ボコ・ハラムが軍事基地制圧か ナイジェリア北東部  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H53_V00C15A1EAF000/

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