【軍隊×法律】日本の軍事は法律メイン-法律軍事の怖いこと


軍事と法律。

切っても切れない関係にありますが、その上下関係で言えば軍事のほうが先になるのが通常です。

日本の場合は法律がメインになって軍事がサブ、軍事の議論が法律論になってしまいます。

今回は法律な軍事が生み出す怖いこと、それはバラバラと対応不可能なことです。

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軍事がメイン、法律がサブな理由


はじめに軍事がメインで法律がサブである理由です。軍事分野はほとんどが想定外(法律外)のことだらけです。想定外になるのは、相手方にも意思があり、その動きが分からないこと、天候や地形は中立でどちらの味方でもないこと(ナポレオンのロシア遠征など)、周辺国の動向や自国の政治状況もどう動くかわからないこと、などから軍事分野は想定外だらけです。

そのため法律で事前にいろいろと決めて書いたとしても、ほとんど外れるのがオチ、なぜなら想定外のことは法律には書けないからです。

だからこそ、軍事の現実がメインとなり、最低限の規制のために法律がサブになるわけです。

戦いに法律なんて必要?戦いは何でもあり!

と思われるかもしれません。でも戦争は人類社会が生み出した交渉解決のひとつの手段ですから、そこには一定のルールは必要です。そうでないと戦争が紛争解決の手段ではなくなります。

日本の軍事法-ポジリスト+法律自体が持つ性格


軍事法の原則として「これだけはしちゃいけない(禁止)、禁止された以外のことは自由にしてもいい」というネガリストがあります。これは軍事分野が想定外だらけだから作られた原則です。軍事の法律はこのネガリスト方式で作られないと軍隊が仕事ができなくなります。

このネガリスト方式を使わないで作られているのが、日本の軍事の法律です。「これだけしかできない、法律に書いていないことは一切してはいけない」という形の軍事の法律です。これをポジリストと言います。これでは自衛隊が軍隊として仕事をすることはとても難しくなります。

また、法律自体が持っている性格も軍事の仕事をしにくくします。法律というものは基本的には…

・過去の事例を書いてあるもの
・明確な定義を求めるもの


です。軍事分野は現在進行形の出来事を扱うので、過去形で決められている法律には馴染みませんし、常に変化する状況をあれはA、これはBと明確に定義ができることはありません。だからこそ、自国としてこれだけはしないこと!だけを決めて軍隊に自由に行動させています。

法律軍事が生み出す怖いこと


現在の日本の軍事は「法律軍事」です。法律がメインになって軍事がサブになっています。この法律軍事が生み出す怖いことがあります。怖いことには…

1 自衛隊ができないことが増える
2 現在進行形の出来事に対応できない
3 法律上の出来事が乱立する


があると思います。

1については、自衛隊に行動させるために法律を作って、改正して、現実に合わせようとしてかえって自衛隊が活動できないことです。パッチワークのような法律の仕組みを作ってしまっているのが現状。そこに、さらに模様を重ねてポジリスト方式による仕事の与え方では自衛隊が混乱してしまいます。

例えばA法ではOKでもB法ではNGという場合などです。自衛隊も現実世界の国家機関ですから違法なことは避けたいですし、隊員も命令によって仕事をしたのに違法行為で逮捕されるのもいやです。

2は、法律自体が持つ性格からくるものです。法律は基本的には過去の事例を書いた過去形のもの。現在起きていることは最初から想定外です。そのため法律上の根拠がない場合には今起きていることを放置するのが合法になります。例えば自然災害のときに公共機関の対応が遅れるのは、ほとんどこの理由からです。

3は、法律で決められた出来事(概念)が多く存在して混乱することです。例えば自衛隊が出動した場合に災害派遣・海上警備行動・警護出動(どれも法律上の出動の形)が並存した場合、それぞれの行動で法律の根拠が違い、武器の使い方も変わってしまいます。また、それぞれの行動の優先順位で混乱します。

戦いで相手方を混乱させること有効な手立てですが、自国の軍隊を混乱させることはとても有効なことだとは思えません。

20××年のある日… - 法律軍事のシミュレート


具体的に法律軍事を見てみましょう。例えば自然災害と武装漁船の領海侵犯、離島の占拠、国内での騒乱が重なった場合です。戦争となると相手国はこちらの弱点をあらゆる機会を狙って突いてきますから。

地震発生 → 災害派遣   → 武器なし
武装漁船 → 海上警備行動 → 警察官と同じ程度の実力行使
離島占拠 → 防衛出動   → 防衛上必要な武力行使
国内騒乱 → 治安出動   → 警察官と同程度の実力行使

というように、自衛隊の出動という点では同じなのに法律上は別々の事柄になります。これでは自衛隊が混乱するだけではないでしょうか?うちの部隊は災害派遣で出動しているから武器はもっていない、近くの海岸に正体不明の武装集団が迫ってきているが災害派遣だから対応できない…という摩訶不思議な状況が生まれます。

法律を見直しましょう


 日本の軍事法はポジリスト方式で決められています。それでは自衛隊が軍隊としての仕事ができないから、防衛省と自衛隊は、自衛隊に関する法律が作られるたびに「等」や「も」(これがつくことで「できること」の根拠にできるから)を付け加えてきました。

日本の軍事法は、過去形の明確な形を求める法律に「等・も」を付け加える作業の産物です。

もう、こういう作業をしなくてもいいようにして、自衛隊を逆法律戦から解放してあげてもいいと思います。政治側が自衛隊に軍隊としての仕事を求めるのなら、なおさらです。政治側も法律の話ばかりではなく、政治が求めている自衛隊の軍隊としての戦い方などについて議論したほうがいいのではないでしょうか。

以上、うさぎの耳(@usaginomimi)でした!m(_ _)m

【うさぎの耳的な今日のポイント】

  • 軍事がメインで法律がサブというのが通常です

  • 軍事法はネガリスト方式で作られます。

  • 日本は逆を行ってます。


【関連リンク(註)】
軍隊の法律についてはこちらでも書いています。

・【軍隊≠警察】これしかできない or これ以外はしていい! 軍隊の力の使い方 - 知っておきたい!仕組みとしての軍隊#3
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/397092823.html

・【軍隊≠警察】Internationalな軍隊 国内な警察 知っておきたい!仕組みとしての軍隊#7
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/400425600.html

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