【軍隊×法律】いま必要なのは法律のダイエットです! 後編


軍事と法律。

くっつきすぎても離れすぎてもいけない関係です。先日の記事では国会で軍事の法律が審議されること、法律を増やすよりも減らすことが大切と書きました。

今回は法律を減らしても大丈夫なこと、減らした後の方法などです。

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暴走はしにくい


先日の記事では、法律を減らすことが大事!としましたが、これに対しては「自衛隊に対しての法律の規制を減らすなんてとんでもない、軍部の暴走を許した戦前が復活する」というような言葉が返ってきそうです。

ですが、法律を減らしても自衛隊は「暴走」しにくいと私は思います。それは4つの理由からです。

1 自衛隊自体がなんでもできる訳ではないこと
 自衛隊は訓練していないことは基本的にはできませんし、持っていない兵器を前提にした戦い方は最初からできません。自衛隊自身にも限界はあります。

2 自衛官は死にたくない
 軍隊というのは保守的な組織といわれます。命についてもすごく慎重です。戦争となれば真っ先に死傷するのは自分たちですから、あまり戦いたくはありません。軍隊の訓練は戦うためのもの生き残るためのもの、決して最初から死ぬためのものではありません。

3 法律による規制は残せる
 法律を減らしても、法律による制限はゼロではなく、必要最低限の制限(これだけはしてはいけないという形の制限)はできます。また国際法の適用もあります。

4 軍隊の行動の目的は政治が示すもの
 軍隊は政治の「道具」ですから、政治が制御できれば目的の範囲内で収まります。戦争の時の目的喪失、手段の目的化は軍隊だけの問題ではなく、政治・国民の問題でもあります。軍隊の責任だけを論じても意味はありません。

軍事となると自衛隊ばかりに目がいきますが、軍事は政治と共同して動くもの、自衛隊が暴走するなら、それは政治側の怠慢でもあるはずです。

具体的にはどうする?


自衛隊にとっては法律は必要、必要でも必要最低限で「これ以外のことは自由にしてもいい」という方法です。では具体的にはどうしたらいいのか?個人的に思いつくのは…

・国際法を自衛隊に直接に適用する(国際法の自動執行性という意味。裁判所でも他の国際法で認めている例があります)

・国内法の規制は自衛隊ではなく、首相を対象とする(首相は自衛隊の最高指揮権を持っています)

というのはどうでしょうか?こうすれば、自衛隊は国際標準の行動をとることができるようになり、首相の最高指揮権の範囲内にあるため国内法にも違反しません。法律で直接にこと細かく自衛隊の行動を規制しなくても、法律の範囲内にあります。自衛隊は政治が設定した目標を達成するための作戦計画を作ることに専念できます。

2番目については、現時点でも弾道ミサイル防衛に関しては航空自衛隊に委任しているのですから、できない訳はありません。(ミサイル防衛というカテゴリを作って仕事をさせてはいますが、まだマシだと思います。本来は何が起こるかわからない訳ですからカテゴリ無しでもいいと思います)

※ミサイル防衛の仕組み
・本来は防衛大臣が総理大臣の承認を得て自衛隊に迎撃をさせる仕組みですが、ミサイル発射から着弾までの時間が短いことから、防衛大臣は首相の承認を得て、あらかじめ自衛隊に対して迎撃するよう命令を出しています。この作戦は国会の承認は不要、事後報告です。

・この仕組みは法律で大枠が作られ、具体的な対策は閣議決定で決められています。

戦いは相手次第です


軍事分野では「日本ならでは」とか「日本の独自性」などが強く言われますが、そんなことは国際紛争では無視されるのが通常です。相手方からみれば日本が自分で自分を縛って戦ってくれたほうが得ですから、「日本ならでは」は素晴らしい!というだけです。

政治側は法律に頼りすぎずに、自衛隊を制御する仕組み(例えば閣議決定)を普段から慣れておくことが必要です。現在でも先に紹介したミサイル防衛は閣議決定をして枠組みを作っているのですから前例はあります。

また、軍事に関しては解釈で乗り切ってきたのが日本の安保政策の現在です。自衛権すら否定していた憲法解釈を変更して自衛隊を創設し、集団として自衛権を扱うことを前提にしている日米安全保障条約も締結しています。また国連軍として活動することを決めている国連にも加盟しているのです。

もう前例と事実があるのですから後は慣れるだけです。

繰り返し言いますが、日本で軍事の法律の議論と整理は必要です。ただしの議論と整理は、法律を減らすこと、自衛隊の行動を国際標準にすることです。

以上、うさぎの耳(@usaginomimi)でした!m(_ _)m

【うさぎの耳的な今日のポイント】

  • 法律を減らしたとしても規制はあります。

  • 既に閣議決定で作っている仕組みがあります。

  • 日本が法律で自制しても褒めてくれません。


【関連リンク(註)】
ミサイル防衛の具体的仕組みはこの閣議決定を基にしています。

・防衛省・自衛隊:資料46 自衛隊法第82条の3第3項に規定する弾道ミサイル等に対する破壊措置に関する緊急対処要領
http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2013/pc/2013/html/ns046000.html

軍隊の法律についてはこちらでも書いています。

・【軍隊≠警察】これしかできない or これ以外はしていい! 軍隊の力の使い方 - 知っておきたい!仕組みとしての軍隊#3
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/397092823.html

・【軍隊≠警察】Internationalな軍隊 国内な警察 知っておきたい!仕組みとしての軍隊#7
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/400425600.html

国会で審議される予定の法律に関する報道は以下のものです。

・電話閣議決定を検討 「グレーゾーン事態」で迅速判断:朝日新聞デジタル
http://digital.asahi.com/articles/ASH1H3C9QH1HUTFK001.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1H3C9QH1HUTFK001

・集団的自衛権、与党協議再開へ…活動範囲焦点 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150118-OYT1T50004.html

・防衛相 自衛隊の活動範囲拡大へ法整備を NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150119/k10014779541000.html

・外国軍艦の領海侵入、首相判断で自衛隊出動 安保素案  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO81458010Z21C14A2PE8000/

・自衛隊の海外派遣、法制定で容易化へ 米国のプレッシャーを海外メディア指摘 | ニュースフィア
http://newsphere.jp/politics/20141229-3/

・安保法制:与党協議スタート…全体像の合意目指す - 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20141228k0000m010059000c.html

・安保法制の策定めぐり自公幹部が協議 自衛隊の活動範囲焦点  - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/141227/plt1412270023-n1.html

・時事ドットコム:電話閣議決定で自衛隊出動=グレーゾーン迅速対応で検討-政府
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2015011500977

・【よく分かる安全保障法制】(下)グレーゾーン事態、島を守り切れぬ現行法(1/6ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/150113/plt1501130003-n1.html

・【よく分かる安全保障法制】(上)集団的自衛権 「切れ目」なき対応のため 行使は世界で最も厳格に 自公協議は曲折も(1/6ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/150112/plt1501120011-n1.html

・自衛隊「歯止め」、自公に溝 海外活動の範囲が焦点  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS10H2E_Q5A110C1PE8000/

・時事ドットコム:「存立事態」で自衛隊出動=安保法制、地理的制約設けず-政府・自民調整
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201501/2015010800853

・集団的自衛権 武力攻撃事態法軸に 安保法制政府方針 恒久法は明示せず(1/2ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/150107/plt1501070007-n1.html

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