【軍隊×法律】いま必要なのは法律のダイエットです! 前編


国会。

日本の国で使用される法律を審議して、法律として実質的に成立させる場所です。

自衛隊や軍事に関する法律が審議されるのも国会、いまの国会で「集団的自衛権」などの法律が審議される予定となっています。

あえていいますが、いま必要なのは法律のダイエットです。

----------------------------------------------------------------------
※ブログ記事の元になる記事とリンク先は【関連リンク】に記載しています。
※記事中にある動画を再生する場合,音量にはご注意ください。
----------------------------------------------------------------------


いまの国会での軍事の法律


いまの国会では、平成26年(2014年)に閣議決定された「集団的自衛権」の行使に関連する法律の改正審議が予定されています。どういった法律が改正され、どういう内容が盛り込まれる予定なのでしょうか?

1 「集団的自衛権」行使について必要な項目を追加するため、自衛隊法と武力攻撃事態法を改正する。
2 「存立事態」(仮)という項目を追加する。
3 周辺事態法は廃止してを新しく「支援・協力活動法」(仮)を作る。
4 国連平和維持活動協力法は、新しく作る「国際平和安定活動法(仮)」に置き換える

ということになっています。集団的自衛権の行使容認を求める安保法制懇談会報告書(この懇談会は、広く安全保障に関連する法制度の整備を求めるもので、集団的自衛権はその中のひとつの項目でした)に基づいて…

・警察で対応が難しいけれど軍事衝突には至っていないグレーゾーン事態
・国際平和を維持するための活動
・集団的自衛権の行使

に関連する法律の改正を進めていくことになっています。

具体的に?


改正の内容を具体的にみていきましょう。

1と2はセットのものです。集団的自衛権の行使に関する改正です。自衛隊法や武力攻撃事態法に「存立事態」(仮)という概念を作ります。この「存立事態」とは、「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がある状態を指すそうです。日本の…

・存立が脅かされる
・国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される
・明白な危険

があるときに集団的自衛権が行使されるという仕組みです。

3は他国の軍隊に対する自衛隊の支援活動についての仕組みです。従来の周辺事態法は朝鮮戦争を想定したもので、自衛隊の活動範囲は日本周辺とされ、支援内容も支援対象(米軍)も限定されていました。新しく作られる法律によって、日本周辺という地理的範囲は採用されず、支援内容も拡大されます。またこの法律で国際貢献のための派遣が行われるようになります。

4はPKOでの自衛隊の武器使用基準を変えるものです。従来の法律では自衛隊はPKO活動での武器使用が国際標準よりも制限されて、正当防衛と緊急避難に限定されていました。これは憲法解釈との関連で設けられた制限(海外で国または国に準じる組織と交戦することはできない)です。

このため、自衛隊と共同して行動している外国軍部隊が襲撃を受けても自衛隊が救援に駆けつけることができない(離れた場所で)、自衛隊の仕事を妨害する集団を排除できないなどの弊害が指摘されています。

新しい法律では外国軍部隊の救援をできるようにして、自衛隊が仕事をするための武器使用も認める方向です。

これらの法律の審議はいますぐ始まるものではなく、4月に行われる統一地方選の後に審議される予定です。そのため会期延長がない限りは審議時間は短めになります。

あと、法律改正の審議ではなく閣議決定で作られる仕組みもあります。グレーゾーン事態や海上警備行動での自衛隊出動の意思決定を速くする仕組みが作られます。これには2つあり…

・以下の場合、首相の判断で海上警備行動(海上自衛隊が出動する仕組み)を発令できる。

1 離島に武装漁民が上陸した場合
2 公海で日本船舶が武装集団に攻撃された場合
3 外国軍艦の領海侵入した場合

・グレーゾーン事態で自衛隊を出動させる場合は、閣議決定は電話(口頭)で済ませることができるようにする。(事態は時間を争うのですばやく決める必要があるから)

があります。

動けない自衛隊…必要なのは法律のダイエット


 以上が報道されている範囲での法律改正の話です。いまの国会ではこれだけということで、自衛隊の作戦に関連する法律は臨検をするための船舶検査法や、捕虜を得たときの捕虜取扱法などさまざま法律を改正することになってきます。

本当に多く法律を駆使して戦わないといけない自衛隊です。自衛隊は国内法と戦争に関する国際法(戦時国際法。日本では国際人道法と呼ばれる)を使って仕事をしないといけません。しかも国際法で決められている軍隊として標準な行動も、国内法では禁止されたり厳しく規制されています。

自衛隊は国内法と国際法の板ばさみ、中国が志向する法律戦を逆方向で戦っているのが自衛隊です。

※法律戦とは、国際法や国内法を駆使して相手を追い込んだり、自国に有利な状況を作るという戦い方です。

私は自衛隊が軍隊としての仕事をするために、法律を作るのではなく、減らすこと、つまりダイエットをしてもらいたいと思っています。なぜなら、多くの法律を作ったとしても戦いは想定外だらけ、法律の根拠をいちいち探したりすることは不可能です。法律で書かれたことはすべて実現される(べき)とか、法律を作る段階で戦場の状況をすべて予測できるというのは夢物語ではないでしょうか。

法律を減らす!?とんでもないヾ(*`Д´*)ノ"


法律のダイエット!と言うと、でてきそうなのが「法律で規制しているから自衛隊が暴走しない!法律の規制を減らすなんてとんでもない」という言葉です。

これはもっともらしく聞こえる言葉ですが、自衛隊の軍隊としての仕事をしにくくする言葉です。政治や国民が自衛隊に期待する仕事のひとつに防衛がありますが、その仕事をするために出動する自衛隊の活動をしにくくして、どうなるのでしょうか。

政治側が軍隊を出動させるのは軍隊を使って政治の役に立てようとするからのはず。なのに自衛隊の場合は、政治の理由で出動させたにもかかわらず、政治の求める目的を達成しにくいような規制を課せられます。

法律の規制によって自衛隊の仕事のしにくさを招いて、防衛上の利益を損なうことは国会としてよいことなのか?と思います。

後編に続きます。後編では法律を減らした後のお話です。

追伸
個人的には集団的自衛権はそれほどのこと?と思っています。詳しくみたい方はこちら↓をご覧ください。

・【自衛隊×自衛権】集団的自衛権の議論や結果などのまとめ
http://koukuujieikan.seesaa.net/article/400856919.html

【うさぎの耳的な今日のポイント】

  • 国会で自衛隊法などの軍事法の審議が予定されています。

  • 新しい法律が作られる予定です。

  • いま必要なのは法律を増やすことよりも減らすことだと思います。


【関連リンク(註)】
・電話閣議決定を検討 「グレーゾーン事態」で迅速判断:朝日新聞デジタル
http://digital.asahi.com/articles/ASH1H3C9QH1HUTFK001.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1H3C9QH1HUTFK001

・集団的自衛権、与党協議再開へ…活動範囲焦点 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150118-OYT1T50004.html

・防衛相 自衛隊の活動範囲拡大へ法整備を NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150119/k10014779541000.html

・外国軍艦の領海侵入、首相判断で自衛隊出動 安保素案  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO81458010Z21C14A2PE8000/

・自衛隊の海外派遣、法制定で容易化へ 米国のプレッシャーを海外メディア指摘 | ニュースフィア
http://newsphere.jp/politics/20141229-3/


・安保法制:与党協議スタート…全体像の合意目指す - 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20141228k0000m010059000c.html

・安保法制の策定めぐり自公幹部が協議 自衛隊の活動範囲焦点  - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/141227/plt1412270023-n1.html

・時事ドットコム:電話閣議決定で自衛隊出動=グレーゾーン迅速対応で検討-政府
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2015011500977

・【よく分かる安全保障法制】(下)グレーゾーン事態、島を守り切れぬ現行法(1/6ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/150113/plt1501130003-n1.html

・【よく分かる安全保障法制】(上)集団的自衛権 「切れ目」なき対応のため 行使は世界で最も厳格に 自公協議は曲折も(1/6ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/150112/plt1501120011-n1.html

・自衛隊「歯止め」、自公に溝 海外活動の範囲が焦点  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS10H2E_Q5A110C1PE8000/

・時事ドットコム:「存立事態」で自衛隊出動=安保法制、地理的制約設けず-政府・自民調整
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201501/2015010800853

・集団的自衛権 武力攻撃事態法軸に 安保法制政府方針 恒久法は明示せず(1/2ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/150107/plt1501070007-n1.html

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック