【軍隊≠警察】軍隊は集団自衛・警察は個人の自衛! 知っておきたい!仕組みとしての軍隊#6


自衛権を巡って国会の議論が行われています。

以前は自衛権自体を否定する政党が力を持っていましたが、今は自衛権自体を否定する政党はごく少数派になってしまいました。

自衛権をめぐる話で大切な視点は軍隊はどういう組織なの?という仕組みとしての軍隊という視点です。なぜならば、自衛権はあくまでも権利であって、その権利を使うときの手段は軍隊だからです。

知っておきたい!仕組みとしての軍隊も第6回目となります。

今回は軍隊と警察の「集団と個人」から発生する権限の使い方と責任のとり方、具体的には武器の使用という点から見てみます。

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※前回までの記事はこちらです。

#1 知っておきたい!仕組みとしての軍隊

#2 国家or政府!? 軍隊はどこに所属する?

#3 これしかできない or これ以外はしていい! 軍隊の力の使い方

#4 軍隊の3つの力

#5 ふたり以上 or ひとり-集団の軍隊・個人の警察

軍隊とは?のおさらい。

+合法的な武装組織(#1)
+国家直属で自前で人とモノを管理する自立型組織(#2)
+「これはしちゃダメ。でもこれ以外は自由にしていい」という力の使い方(#3)
+混乱のなかから秩序を作り出す(#3)
+組織としての力がある(#4)
+重武装からの攻撃力(#4)
+補給が自前でできる(#4)
+集団で行動する(#5)
=軍隊

集団と個人-発砲の違い


 前回の記事では集団で行動する軍隊、個人で行動する警察の仕組みを書きました。この集団と個人の違いが、権限の使い方と責任のとり方の違いに現れます。

軍隊も警察も合法的に武装して与えられた力を使うことができます。与えられた力を権限といい、権限を使った結果の責任のありかを責任のとり方とします。軍隊と警察を発砲という視点で見ると…

軍隊 ⇒ 集団(部隊)として発砲 + 責任は部隊に
警察 ⇒ 警察官個人として発砲  + 責任は警察官個人に


という風になります。軍隊の場合は集団の判断としての発砲、警察の場合は個人の判断としての発砲となります。

この違いってそれほど重要なの?撃つには変わりないでしょう?と思われるかもしれません。この違い実は重要なんです。

責任のありか


 発砲の仕方と内容の違いが重要なことの理由は責任のとり方にあります。上で書いたとおり、軍隊は部隊に責任があり、警察は警察官個人にあります。

軍隊は秩序が崩壊した・崩壊しそうな混乱した地域で活動する組織です。軍隊は自身を守るため、政治側が設定した戦争目的を達成するために武器を使います。混乱した地域では一瞬のためらいが危険を招くためほぼ反射的に武器が使えないといけません。

そんな地域での活動で、発砲は個人の責任と判断でしてください!というのは混乱の元(勝手に発砲し始めると大変)ですし、兵士ひとりひとりの大きな負担となってしまいます。そこで、軍隊では発砲は指揮官の命令により行います。

一方の警察。発砲も警察官個人の判断としてします。緊急の時は正当防衛や緊急避難などの法律的根拠があるので個人の責任と判断で発砲できます。身近な例で言えば交通切符を切るのも警察官個人としての判断で行うもの(好き嫌いで切符を切るという意味ではないです)、責任も警察官個人にあります。(切符には警察官個人が署名捺印しています)

正当防衛と緊急避難-法律軍事の罠


 正当防衛と緊急避難という言葉、自衛隊でもよく使われる言葉です。それは防衛出動以外の自衛隊の武器を使用する行動(治安出動や警護出動など)で登場します。

防衛出動以外の武器を使う出動は基本的に警察官職務執行法という法律が使われるので、自衛隊の武器使用は警察的な武器の使い方に変わります。

この法律から生まれる問題、これまでの記事を読まれた方には答えはお分かりかと思います。そうです…

集団で行動する軍隊に個人の責任と判断で発砲できる・させる仕組み

なのです。自衛隊は実質的には軍隊、軍隊として訓練され行動しています。「部隊」(集団)という言葉は自衛隊にとっては馴染みの言葉、常に部隊として行動しています。

部隊は指揮官がいて、その下に将校や下士官に兵士が従います。普段は部隊として行動しているのに、いざという時の本番に「個人として判断してください、責任はすべてあなたにあります」というのは無理な話です。

海外に行くと…


 国外に目を向ければより問題の大きさが見えてきます。先日には…

・陸自PKO隊長が射撃許可 南スーダン「正当防衛なら」:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASG497TNYG49UHBI024.html

このようなこともありました。隊長としては隊員の命を守るための判断でしたが、命令のようで命令でない、つまり隊員個々人の正当防衛が成立するなら撃ってもいいという許可を出しただけで、判断自体は隊員ひとりひとりに委ねられているわけです。これは隊長の責任というより政治側の責任です。

「集団」の自衛権


 集団で行動する軍隊に、兵士ひとりひとりの判断で発砲できる・させる仕組みはナンセンスです。この点は真っ先に解決すべき問題だと思います。集団的自衛権うんぬんが議論されているこのときにも自衛隊部隊は海外に派遣されています。

駆けつけ警護の対象者の範囲を拡大するとかしないとかで揉める前に、集団・部隊として自衛できる仕組みを作ってもらいたいと思います。そうでないと自衛隊は政治目的を達成できませんし、自分の身を守ることも難しくなります。あくまでも

軍隊 ⇒ 集団(部隊)として発砲 + 責任は部隊に
警察 ⇒ 警察官個人として発砲  + 責任は警察官個人に

を基本に仕組みを作るべきかと思います。

今回は自衛隊を例に権限の使い方と責任のとり方を見てきました。自衛隊と武器使用の問題の根源はここにあります。

次回の軍隊と警察の違いは国内と国外に関わること、具体的には扱う法、活動領域、力を使う対象者です。軍隊と警察の違いが鮮明にでる面です。

今日はこの辺でm(_ _)m

【今日のポイント】
◎軍隊は集団で行動し力を使う。
◎軍隊は指揮官の命令で発砲する。
◎軍隊の武器の使い方の原則を間違えると混乱の元に。

※この動画は JGSDFchannel さんの投稿です。ありがとうございました!


【参考になる本】
軍隊と警察を知る唯一の本かもしれません。


仕組みとしての戦争を解剖する本です。

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