【軍隊≠警察】これしかできない or これ以外はしていい! 軍隊の力の使い方 - 知っておきたい!仕組みとしての軍隊#3


近頃、話題の集団的自衛権。

この話題は実はすでに解決済みのものです。1960年の国会で岸信介首相や林修三内閣法制局長官が集団的自衛権はあると明言しています。いまの議論は、ある集団的自衛権の使い方を整理するものに過ぎません。そもそも日米安全保障条約自体が集団的自衛権を前提にしているものですし。

それよりも大切なのが「軍隊の権限の決め方」です。この決め方次第で軍隊が役に立つか、立たないかが分かれます。

そこで今回は「軍隊の権限の決め方はどうなの?」というお話です。

※文中の「ポジリスト」「ネガリスト」の説明が逆でした。すいませんm(_ _)m訂正しました。

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※前回までの記事はこちらです。

#1 知っておきたい!仕組みとしての軍隊 #1

#2 国家or政府!? 軍隊はどこに所属する?

軍隊の力の使い方 - 権限の決め方が大きな違い


 前回までの記事で、軍隊が「国家直属の合法的な武装組織で、国家の中の国家として自律的に行動できる」という組織であることが分かりました。

今回は「軍隊の権限の決め方はどうなの?」です。軍隊は組織なので権限を持ちます。権限というのは組織としての力の使い方で、その権限の決め方が軍隊と警察を大きく分けます。権限の決め方を間違えると、警察では対応できないから軍隊を出動させたのにできることは警察以下という冗談みたいな状況が起きてしまいます。

では、軍隊と警察の大きな違いのひとつ、権限の決め方について見ていきましょう。

ポジ VS ネガ


 ポジネガといっても写真のことではありません。軍隊と警察の権限の決め方の言葉として「ポジリスト」と「ネガリスト」があります。

ポジリストというのは、「これしかできない!この仕事しか許さない!」という権限の決め方で、ネガリストというのは「これはしちゃいけない。でもそれ以外は自由にしていい」という決め方です。

これを軍隊と警察に当てはめれば、軍隊はネガリスト警察はポジリストになります。

こう書くとこのような意見…軍隊がネガリスト?軍隊が自由勝手に動けるようにしてはいけない!危ないじゃないかヾ(*`Д´*)ノ"が出てきそうです。

これが日本の「常識」、法律の仕組みもそういう風に作られています。軍隊は元々の性格からして自立し、自律して行動する組織だから、常に拘束するというのは一見、正しいようです。

でも、どうでしょう?

それは自立・自律の性格から逆算した答えではないでしょうか。軍隊は目的のための組織、その性格も目的の為のものです。軍隊が達成しようとする目的のために、そういう性格になっているだけの話です。軍隊の達成目的は政治が設定する目的、より具体的に言えば…

自国にとって有利な秩序が崩壊したり、崩壊しそうなときに、その有利な秩序を再度作り出したり、壊させないようにすること

です。軍隊はこの目的のために一定の制約(ネガリスト)のなかで自由に行動して、政治が求める秩序の創造を軍事面から手助けをします。

既存の秩序 VS 新たな秩序


 軍隊は政治が求める秩序を作る手助けをするもの、まだ大雑把な感じです。この視点を警察との比較で見ていきましょう。

まずは警察

警察はすでにある秩序を前提に動いています。いわば平時の秩序を守るための組織、平時の秩序を守るために犯罪者を逮捕したりします。この平時の秩序を乱すもの、それは犯罪者だけではありません。

警察自身も乱す原因になる!と考えているのが「ポジリスト」です。つまり、警察は武装しているので警察の権限を事細かく規定して「これしかできない」方式にしないと警察に誰も対抗できない…歯向かえば逮捕されてしまう…と。だからこそ警察官の武器使用は急迫不正の必要性・相手に比例した手段・最小限という縛りが掛かっています。

対して軍隊

軍隊は自国にとっての平時の秩序が崩壊済み、崩壊しそうなときに出動するので、平時の秩序を前提としていません。いわば有事のなかで新しい平時の秩序を作り出す組織です。

有事では、平時のように「これしかできない」では対応できません。なぜなら、軍隊にとっての有事は戦闘、戦闘には相手がいるからです。相手がいるのに「これしかできない」では片手縛りの剣術試合、勝てるものも勝てません。だからこそ、軍隊の武力行使は警察のような縛りは基本的には無く、相手方を撃退するために必要な手段をとります。

よく言われる言葉!

・警察は秩序あるところの秩序を維持する

・軍隊は秩序なきところに秩序を打ち立てる

ですね。

ネガリスト - 国際標準に


 軍隊の国際標準はネガリストです。そうでないと混乱の中から秩序を生み出すことはできません。自衛隊の場合は生まれた状況から警察方式の「ポジリスト」で権限が決められています。

自衛隊を出動させました!でもできることは警察以下でした!という冗談みたいな状況…それは戦闘でも、治安出動や警護出動という軍隊同士の戦闘以外のための出動で起きます。

日本国内の秩序がなく混乱した外の地域で、日本の秩序を前提にした力の使い方をする…
警察で対応できない大規模な騒乱状態が発生し自衛隊が出動!出てきた自衛隊もポジリスト…どうですか?

警察で対応できないのに、できることは警察と同じかそれ未満の自衛隊って…ただ単に人数が多いか少ないかだけの話になってしまいますね。

近頃話題の安保法制懇では自衛隊の権限の決め方をネガリストに変更する方針を示しています。最終報告に入るかはわかりませんが、集団的自衛権の行使よりも重要な問題です。

ポジリストからネガリストへ、憲法が絡まない分、集団的自衛権よりもカンタンにできると思います。

今日はこの辺でm(_ _)m

次回は「軍隊の力ってなに?」について。軍隊と警察の違いは3つの力にも現れます。

【今日のポイント】
◎軍隊は「これはしちゃいけない。でもそれ以外は自由にしていい」という権限で動く。
◎軍隊は平時の秩序を前提にしていない。
◎自衛隊は「これしかできない」という警察方式の権限で動く。

※この動画は JGSDFchannel さんの投稿です。ありがとうございました!


【参考になる本】
軍隊と警察を知る唯一の本かもしれません。


仕組みとしての戦争を解剖する本です。

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