【戦国策×現代】同盟を利用して自国の利益拡大! - 戦国策を読む


同盟関係…どんな国でも麗しくも聞こえ(頼もしい)、疎ましくも聞こえる(屈辱だ!)この言葉。

弱肉強食が定理の国際社会で、独立国家が生き残る為の手段として古今東西、利用されています。

その昔、隣国との同盟関係を利用した策がありました。

英国には永遠の盟友もなければ、永久の仇敵もない。英国の国益が変わらず永久であり、その国益をこそ追求するのが、われわれの義務である。(英国 パーマストン卿)




【戦国策とは?】
 古代支那大陸の戦国時代における各国の動向や説客(戦略家や外交家、弁論家)の働きを記録した書籍。前漢時代に劉向が編纂した。戦国時代には秦・趙・韓・魏・楚・燕・斉の戦国七雄、宋・東周・西周・中山などの国々がそれぞれの生き残りと天下統一を賭けて争っていた。

より詳しくはこちら(wiki) 戦国策の一覧(rakuten)

【今回の登場国・人物】
・斉    山東の大国。韓と同盟関係にある。
・韓    中央に位置する国。秦からの圧迫を絶えず受ける。斉と同盟関係にある。
・秦魏同盟 秦の韓攻略のために結成された同盟。
・燕    斉の北方の国。
・宣王   斉の王。
・田臣思  宣王の臣下。


1 動き出す秦

 西方の大国秦は商鞅の改革以降、大国への道を突き進みます。そして遂には秦による統一作戦を発動、魏を取り込んで、中原進出の足掛かりとなる韓に攻め込みます。

攻めこまれた韓。こんな時のための斉との同盟だ!ということで、斉に救援を要請する使者を出します。


2 斉はどうする?

 秦魏同盟軍の韓進攻の知らせを受けた同盟国斉。宣王は「(斉は)韓と同盟関係にある。秦が攻めこんできた以上は援軍をだそうではないか」と考え、臣下に諮ります。

そこで田臣思が…

「王様の策は間違っています」
「ここは、救援を承知したふりをして、韓からの使者を帰してしまうことが上策です」
「斉が韓を救わなくても、趙と楚が直ぐにでも援軍を出すでしょうから」

といいます。同盟関係なのに救わないのか!!ヽ(`Д´)ノプンプン(怒)と怒り心頭に発する方もいるでしょう。ですがここは暫くお待ち下さい。

田臣思には別の思惑があったのです。


3 燕を攻略せよ!!

 田臣思の策は…

・韓は中原のど真ん中の国だから、大国の係争地となり易い。
・よって、斉が救援に行かなくても、秦の更なる強大化を嫌う国が、それぞれの思惑によって介入するであろう。
・だから放って置いても大丈夫。
・斉の軍をそこで使うことはない、別の使い所がある。

という前提で組み立てられています。その上で斉は何をすべきか?という段階に入ります。それが…

燕の攻略

です。燕は、斉の北の国(現在の北京あたり)です。斉としては秦の対抗勢力の盟主を自認する以上、強大化は必然です。そこで目を付けたのが燕です。秦魏同盟による韓進攻は斉の燕攻略に絶好の環境を提供してくれたと田臣思は考えました。

・燕は斉と比べて小さく弱い国。
・燕は内乱状態にある。
・斉以外の国々は韓の問題で燕には無関心である。

という国際環境であると。


3 どうなる!?韓 動き出す斉!!

 秦魏同盟軍の進攻を受けた韓。斉の援軍が来ると確信して秦魏同盟軍と戦闘を開始します。でも多勢に無勢、どんどんと押されます。もはや風前の灯火か!?という間際に趙と楚が援軍として介入してきます。(趙と楚にすれば、強すぎる秦は嫌ですが同時に強い韓も嫌です)そして韓は亡国の危機を免れます。

田臣思の読みは見事に当たりました。

秦+魏 vs 韓+趙+楚 

燕←斉 

という構図が出来上がったのです。さあ、いよいよ斉軍が動き出します。勿論、韓への援軍ではなく燕進攻軍です。周辺国からの援軍を受けられず、また内乱状態にある燕(まさに内憂外患)は国土の大半を奪われて大敗してしまいました。


4 同盟とは

冒頭でも掲げた…

英国には永遠の盟友もなければ、永久の仇敵もない。英国の国益が変わらず永久であり、その国益をこそ追求するのが、われわれの義務である。(英国 パーマストン卿)

という言葉、これが真理を現しています。

・国家に永久不変の同盟関係はない。(永遠の友好も永遠の敵対もない)
・永久不変なのは国家としての利益(より良く生き残ること)だけである。
・独立国としてより良く生き残ることを追求するのが国家の義務である。

ということを言いたいのかと。国益のための同盟という位置づけです。

同盟というと自国との関係のみで見ることが多い(韓が好例)です。それは間違いではないのですが、もっと広い視野で見ることも大切になります。「日米同盟」とは言っても、韓国や台湾、東南アジア、豪州などから見る視点も必要になるかと。(沖縄県の基地も国際的視野を忘れがちですね。超ドメスティックな議論になっています)

自国で足りないところを補うために行われる同盟、あくまでも自助努力を基本に同盟は補助という基本線に立ち返ることが大切です。大部分を任せた国は永遠の友でも永遠の敵でもありませんから。

利用されたことを嘆く前に、こちらも相手を利用することを考えたほうが楽だと思います。

【今日のポイント】

◎同盟は国益のためにある。
◎軍事防衛は自助努力を基本にする、足りないところを補うのが同盟。
◎同盟は自国専用のものではない、同盟の相手国の国益も絡んでくる。
◎周辺国の国益との絡みも見逃せない。

【参考の書籍】

戦国策 (1) (東洋文庫 (64))

劉 向 平凡社 1966-04
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戦国策 (講談社学術文庫)

近藤 光男 講談社 2005-05-11
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