【戦国策×現代】鼻を隠しなさい!、恩を売って相手を陥れる方法-戦国策を読む


人間の善意は有り難いものです。善意は人間の一面ですが、他面では悪意もあります。

その昔、善意を装ってライバルを追い落とした策がありました。




【戦国策とは?】
 古代支那大陸の戦国時代における各国の動向や説客(戦略家や外交家、弁論家)の働きを記録した書籍。前漢時代に劉向が編纂した。戦国時代には秦・趙・韓・魏・楚・燕・斉の戦国七雄、宋・東周・西周・中山などの国々がそれぞれの生き残りと天下統一を賭けて争っていた。

より詳しくはこちら(wiki) 戦国策の一覧(rakuten)

【今回の登場国・人物】
・懐王   楚の国の王。
・鄭しゅう 懐王の夫人。
・新婦   魏の国から来た女性。

魏王は楚との関係を深めようと懐王に美人を贈りました。懐王はとても喜びます。

その喜びようをみた鄭しゅう夫人、その美人に身の回りの品々を渡し、いろいろと世話を焼くようになりました。新婦も後から来た身であることから、心細く思っていたところにライバルとなる夫人から優しくされたので心やすく暮らせるようになりました。

こうなると「夫人の鑑」と言われそうですが、案の定、懐王もそう捉えます。懐王は

「嫉妬するのが自然の情であろうに、鄭しゅうは新婦を私以上に可愛がってくれている。まさに夫人の鏡ではないか」

と言いました。それを聞いた鄭しゅう夫人…

夫人の真の目的

自分が嫉妬しないと思われたと知った夫人は動き出します。そう真の目的は、魏から来た新婦を貶めること、そして王の寵愛を取り戻すことです。早速、夫人は新婦を呼び

「王様はあなたの美しさにぞっこんです。でもその鼻だけはお気に召さないようです。今後、王様にお会いになるときは必ず鼻を隠しなさい」

と言います。夫人を信じきっていた新婦は言われた通りに鼻を隠します。

後日、懐王が夫人に尋ねます。なぜ新婦は私の前で鼻を隠すのであろうか、その理由を知っているのかと。そこで夫人は…

「知っています」「新婦は王様の臭いを嗅ぐのが嫌なのです」

それを聞いた懐王は激怒、新婦は刑罰を受けることになりました。

刑罰を受けるという点では時代性を感じますが、人間の多面性という点では変わらないものがあるという事例です。人間は、善いことをしながら、同時に悪いこともできるという不思議な存在です。

国家も同様で、一方では「善意」の支援を行いつつ、他方では挑発行為もします。支援を受けているから領空侵犯寸前でも抗議しない(今回はたまたま領空侵犯に至らなかっただけかと思います。必要なら侵犯します。入るかどうかは相手の意志次第です)という政府もあります。

相手方の善意を全否定する必要はありませんが、一方で警戒を怠らないのが政府の務めではないかと思います。

【今日のポイント】
◎人間は多面的な存在(神様でも獣でもない)。
◎同様に国家も多面性を持つ。

【参考文献】

LINK
戦国策(1)(東洋文庫)東周から斉の話が載っています。

戦国策 (2) (東洋文庫 ) 斉から魏の話
戦国策 (3) (東洋文庫) 魏から中山の話

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