【戦国策×現代】相手にさせる口封じ-戦国策を読む


内情を知る人物の内通や逃亡…自国にとっては大きな禍根、一方の受入国にとっては重要な情報源。情報は一国の命運を左右することもある大事なので双方がぶつかります。

その昔、相手を利用して口を封じたことがありました。




【戦国策とは?】
 古代支那大陸の戦国時代における各国の動向や説客(戦略家や外交家、弁論家)の働きを記録した書籍。前漢時代に劉向が編纂した。戦国時代には秦・趙・韓・魏・楚・燕・斉の戦国七雄、宋・東周・西周・中山などの国々がそれぞれの生き残りと天下統一を賭けて争っていた。

より詳しくはこちら(wiki) 戦国策の一覧(rakuten)

【今回の登場人物】
・昌他(しょうた):西周の臣
・馮たん(ふうたん):西周の策士(以下策士)
・東周と西周:元は周王朝として存在。しかし東西に分裂し対立する国同士。


 昌他は西周の内情に通じた人物でした。その昌他が都合によって西周から逃亡し、東周に保護を求めます。東周としては、敵国である西周の内情を知る絶好の機会ですから、当然に保護します。


 そこで困るのは西周。昌他が西周の内情を洗いざらい話してしまい、機密もへったくれもありません。困った西周は策士の馮たんに策を講じさせます。策士は…

「昌他の口を封じます。そのために王様には金をくださいませ」
「そのお金と手紙を昌他に届けることにって口を封じてご覧に入れます」

そして、策士は手紙を昌他に手紙を認めます。その手紙には…

「昌他に告ぐ。成功に見込みがあるなら、努力されよ。見込みが無いなら、早々に逃げ帰られよ。事が長引けば、今回の策がバレて東周に殺されてしまうぞ」

と書いてありました。つまり、昌他の逃亡は西周の策の一環であると書いたのです。


そうだったの?

 実は策士は嘘を書いています。昌他は本当に逃亡した人物です。口封じを狙っているのです。数日後に東周当局にある者が密告に訪れます。その者いわく…

「今夜、昌他の邸宅に西周からの使いが入ります!!!」

とのこと。東周当局は待ち構えて使いを逮捕します。そこであの手紙とお金が出てくるわけですから、東周は怒り心頭に発し、昌他を処刑してしまいました。



 平成22年6月に発覚した米国でのロシアスパイ団摘発事件。これはロシア対外情報局の対米情報部門所属の大佐の「裏切り」により起きました。露大統領府筋は、その大佐を追跡し、「(大佐は)毎日、報復を恐れることになる」としています。
 自国にとって煙たい存在を相手国の手により存在させなくしてしまう…こちらの手は使いませんし、イザとなればシラを切れます。一方、相手国は貴重な情報源を失い、今後の情報提供の可能性も潰されてしまうわけです。(保護してくれないとなれば誰も情報提供しません)

相手と対決する前に、相手に自滅してもらう!のが最も楽な手段ですね。

【今日のポイント】

◎「勝つ」ことは相手が負けてくれないとできない。
◎相手の自滅を誘うこと。
◎情報提供者の保護は最優先である。

【参考文献】

LINK
戦国策(1)(東洋文庫)東周から斉の話

戦国策 (2) (東洋文庫 ) 斉から魏の話
戦国策 (3) (東洋文庫) 魏から中山の話

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