【戦国策×現代】怒りを示すとき-戦国策を読む


怒り!…感情的な対応の典型例として排除されがちです。でも感情を排した行為ってどういう行為なのでしょう?そう聞くと出てくるのは「大人の対応」「冷静に」「粛々と」ですね。

その昔,怒りで国を救った人がいました。


【戦国策とは?】
 古代支那大陸の戦国時代における各国の動向や説客(戦略家や外交家、弁論家)の働きを記録した書籍。前漢時代に劉向が編纂した。戦国時代には秦・趙・韓・魏・楚・燕・斉の戦国七雄、宋・東周・西周・中山などの国々がそれぞれの生き残りと天下統一を賭けて争っていた。

より詳しくはこちら(wiki) 戦国策の一覧(rakuten)

【今回の登場人物】
・唐且(とうしょ):安陵君の臣
・安陵君     :一国の主
・秦王      :後の始皇帝

魏が秦に滅ぼされた後,魏の保護下にあった安陵は、秦の直接的な圧力を受けることを恐れていました。そこに、いよいよ秦王が安陵君にある要求を突きつけてきます。その要求とは…

「安陵の地を、安陵よりも大きい領地と取り替えてほしい」

というものでした。普通だと「えっ?今の土地よりも大きな土地が貰えるの!!!お得だね(^O^)ウレシー!!」となりがちです。でも安陵君はその要求を拒否します。それは「この土地は先祖より託され、相続した土地です」という理由でした。当然として,秦王は安陵君に対して、様々な圧迫をかけ始めます。そこで、安陵君は唐且を秦に派遣し事態の打開を図ります。

先祖からの土地というだけで大国の要求を断ったんだし、謝りに行くんでしょm(__)mそして土地交換するんだよ。最初からそうしておけばいいんだよ

と思うかもしれません。ですが唐且は違いました。秦王(後の始皇帝)の要求を撤回させたのです。


どうやって?(+_+)

唐且と秦王のやりとりは…

秦王曰く
「安陵君はなぜ、土地交換に応じないのだ。安陵の地より10倍も大きな地と交換するのだ。決して損ではないないだろう。」(よく聞く言葉です)
「そもそも安陵のような小国を滅ぼさずにいるのは安陵を尊重してのことだ。その尊重に応えないということは私を軽んじているのか?」(よくある脅しです)

唐且曰く
「決して軽んじているのではありません。安陵君は先祖から相続された土地を守っているだけです。10倍でも20倍の土地を提示されても交換する気はありません。」

その言葉を聞いた秦王は怒りますヽ(`Д´)ノプンプン

「君は天子の怒りを聞いたことがあろう」
「天子が怒れば、安陵のような小国は一捻りなのだぞ!!!」

こうなると譲歩しそうですが、唐且は絶対に譲歩しません。

「王様は布衣(無位無官の人)の怒りをご存知でしょうか」(唐且)
「布衣が怒ろうと何が恐ろしかろう。すぐにねじ伏せてくれる」(秦王)
「王様には歴史上、権力者が布衣の怒りにより誅殺されたことを御存知ありません。いままでに3名の布衣の人によって誅殺がありました。」(唐且)
「私が4人目の布衣として、今日,あなたを誅殺します。覚悟!!!」(唐且)

と抜刀し秦王に迫ります。それを見た秦王は顔色を変え,唐且に謝罪し要求を撤回しました。


 先祖から相続した土地を守り抜こうとした意思、それに応えた臣下の気迫が安陵を救いました。経済的価値の有無で領土問題を論じることができないという事例です。

「怒るときは怒る!!」という姿勢が無くなって久しいですが、「大人の対応」「冷静に粛々」だけでは問題は解決しません。「大人の対応」は往々にして現状追認の意味しかなさないことが多いと思います。

目的と手段という点で冷静さは欠いてはいけませんが、思いの部分を無視してはいけません。何事も「仕方がない」と嘆く前に自分でできることを考えて実践してみるべきではないでしょうか。

【今日のポイント】
◎明確な意思を示すときがある。(譲歩できないこともある)
◎外交は命懸けである。(最悪,唐且は殺され安陵は亡国)
◎経済的価値だけで領土問題を見ることは出来ない

【参考文献】

LINK
戦国策(1)(東洋文庫)東周から斉の話

戦国策 (2) (東洋文庫 ) 斉から魏の話
戦国策 (3) (東洋文庫) 魏から中山の話

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