自衛隊関連の事業仕分けを振り返る2 国際平和協力センターの建設

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自衛隊や防衛省関連の事業仕分けを振り返ってみたいと思います。

何が、どのような理由で、問題にされたのか?を知ることは、今後の防衛政策のあり方や進め方の参考になると思います。また、防衛政策は予算化されないと意味が無いわけですから、財務省の考え方を知ることは重要です。

今回は国際平和協力センター建設です。



≪国際平和協力センターの建設≫
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【仕分け人のコメント】

●教育・訓練は必要・重要だが、箱は不要。

●既存施設の最大有効利用を考え、教育を行うべきと思う。

●ハコモノ建設の予算は今後原則認めない。即時完全ストップ。国民は、こういう税金の使われ方に怒っている。

●PKO教育の優先度は明らかなので、現在所有する目黒地区の教場で最優先の順位で教場を取ればよい。建物のうち教育研修エリア部分は、内部・外部の教育施設を利活用することからスタートして、どうしても足りなければはじめて建物を申請する。

●現在の教室、他省庁の教室との時間調整で、まずは教室を確保して、それにあわせてカリキュラムを組むなど、工夫によって対応すべき。

●固有施設の必要性は全く説明できていない。宿泊が必要でもなく、教室・資料室・展示という機能の説明は典型的なハコモノ施設。他省庁、公益法人etc.に施設はたっぷり余っている。

●施設建設の目的を明確にできない限り、新たな建設を行うべきでない。目黒地区の建設を考える場合は、全体の幕僚学校、幹部学校をトータルで検討し、民間貸与等を考えて効率的に行うべきである。

●7000 ㎡の施設をつくる必要性が説明されているようには思えない。既存の施設が実稼動としていっぱいなのかチェックしたのか?国のハコモノすべて十分な稼動になっているのか調査後に意義を再検討。もし1箇所に集めるならカリキュラム上の必然性がある場合に限るべき。分散させるメリットもある。

●ハコモノ施設は不要。既存の施設あるいは他省の施設、あるいは民間の施設を借り上げることでも可能。業者と契約の後始末分だけ支払う。
●PKO活動は、より重要となるが、現在は、より広く場をとらえれば建物は不必要。また、目黒という都心にまとめる必要もない。まずソフトを実行させるべき。
●30 人のためにハコモノを作る必要はない。
●既存施設で工夫してやってもらう。ソフト活動の充実を。
●PKO活動・教育の重要性は十分に理解している。象徴的な建物を継続することの意味はない。老朽化した他既存施設の改修に向けるべき。
●PKOは件数と研修対象数にギャップ。ハコモノの必要性は疑問。既存設備を活用すべき。
●建設は中止。PKO教育プログラムは推進。ただし、国で統一すべき。
●目黒地区に整備する必要性が明確ではない。場所、必要性、他の施設が使えないか等を含めて検証が必要ではないか。
●広報のあり方はスペース拡大で行う必要はなく、ソフト面、国民の近くで行うべき。

【WGの評価結果】
国際平和協力センター 廃止
(廃止15名 予算計上見送り1名 予算要求の縮減1名(1/3縮減1名)

【とりまとめコメント】
予算要求の縮減1 名、来年度の予算計上は見送り1 名であり、残り15 名が廃止とした。PKO教育の大切さ、人材育成の大切さについては、全く否定するものではなく、むしろ一緒になって取り組んでいきたいと考えているが、その上で、新たな施設を作る必要性という部分について、廃止と結論。
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国際平和協力センターは、自衛隊幹部学校(東京都目黒区)に約三十二億円を投じて建設されるもので、「自衛隊が参加した海外活動について、教育・研修、広報を実施する」(防衛省説明)施設。7階建ての建物で1階2階部分は展示広報スペース、そのほかは会議室が大半、という事業です。

仕分け人や財務省の考え方は

新しい施設を建設しなくても既存の施設で十分ではないのか

という一点に尽きるようです。防衛省側が説明したPKOの教育に必要な教場(教室のこと。自衛隊では教場という)・会議室や資料展示などの機能は既存の施設でも可能であり、広報に関してはソフト面(ネットなどという意味でしょう)で対応可能という見方です。



今回の仕分けでも、PKO参加要員への教育については必要であるとしています。(PKOの史的検証

では、今まで自衛隊や防衛省はPKO教育をどのように行っていたのでしょうか?

実は国際活動教育隊があります。

国際活動教育隊とは、陸上自衛隊が行う国際平和協力活動に参加する人員に必要な教育や訓練などを行う部隊で平成19年に創設されました。日本各地の部隊から幹部自衛官・陸曹自衛官(将校と下士官)を集めて日常的に教育を行っており、静岡県の駒門駐屯地にあります。

具体的には

・地震などに際に派遣される「国際緊急援助活動」の派遣前の準備訓練(部隊を動かすには時間がかかるため事前に訓練しておく)

・国際平和協力活動指定方面隊の準備訓練や待機中の訓練など(陸上自衛隊では国際平和協力に参加する方面隊を予め指定している。派遣命令に素早く対応するため)

・ゴラン高原PKOに派遣される隊員の訓練(ゴラン高原PKOは平成8年より開始。陸海空三自衛隊の統合作戦)

・ソマリア沖アデン湾での海賊対処行動に参加している陸上自衛隊部隊(海上自衛隊が展開する基地の警備部隊)の訓練

・外国に居る日本国民の輸送(外国で事が起こった場合に日本国民を救出する)のための訓練

について教育しています。今日の陸上自衛隊の海外での活動を支える部隊ということですね。

←こちらは海上自衛隊

写真で見るとこういうことです。

DSC_9399 国際平和協力業務.JPGipcat1 国際活動家庭において講義を行う外国人講師.jpgipcat3 軽装甲機動車を使用した訓練評価支援を実施する国際活動教育隊隊員.jpg
※左から国際平和協力業務、講義をする外国人講師、軽装甲機動車による訓練

既に存在している国際活動教育隊。そこには

meeting_room 会議室.JPGlecture_room 教場(第1・2).JPGDSC_0017 展示スペース.JPG
※左から会議室、教場、展示スペース

など、防衛省側が「国際平和協力センター」建設の理由とするPKOの教育に必要な教場・会議室や資料展示などの機能は揃っています。

ではなぜ、防衛省は「国際平和協力センター」を建設しようとしたのでしょうか?それは・・・

政治が建設を要求(それと配慮した防衛省)

したからです。東京新聞の記事によると「国際平和協力センター」の建設を進めたのは当時与党の公明党、それに配慮した防衛省幹部が予算計上したそうです。公明党は平成16年(二〇〇四年)に公表したマニフェストで「国際平和貢献センターの設置」を挙げていました。また、同紙によると民主党も以前には同じ事を要求していたそうです。

防衛省内部では

前政権時に与党だった公明党に求められ、省内の高級幹部の意向で〇八年度防衛費で建設が決まった」(防衛省幹部)
「既存の施設があるのだから、無駄といわれても仕方ない」(陸上自衛隊幹部。事業仕分け前のコメント)


と囁かれていたそうです。

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防衛省『中止』警戒 国際平和協力センター 32億円・箱もの無駄?

 民主党中心の新政権が、「アニメの殿堂」と揶揄(やゆ)される「国立メディア芸術総合センター」(仮称)の建設中止方針を打ち出す中、防衛省は「国際平和協力センター」(同)の行方に気をもんでいる。前政権時に「公明党への追従」(幹部)で建設が決まったとされる典型的な「箱もの」だからだ。
 国際平和協力センターは、東京都目黒区の自衛隊幹部学校に約三十二億円を投じて建設される。七階建ての一、二階に広報展示エリアがあるものの、大半はホールや会議室などの空間ばかりだ。
 防衛省は設置の理由を「自衛隊が参加した海外活動について、教育・研修、広報を実施する」と説明するが、静岡県御殿場市の陸上自衛隊駒門駐屯地には国際活動教育隊が置かれ、全国の隊員を対象に海外派遣へ向けた教育・訓練を行っている。
 また、東京都練馬区には陸自広報センターがあり、イラク派遣や国連平和維持活動(PKO)の様子が展示されている。陸自幹部は「既存の施設があるのだから、無駄といわれても仕方ない」と話す。
 防衛省幹部は「高級幹部の意向で建設が決まった」と述べ、与党だった公明党に配慮した結果という。公明党は二〇〇四年に公表したマニフェストで「国際平和貢献センターの設置」を挙げ、ホームページで「進行中」と評価している。
 国際平和協力センターは〇八年度予算で着手し、今年三月の入札で建設業者が決まった。しかし、防衛省は新政権の意向をみるとして、着工や資材調達を控えるよう求めた。政治家の顔色をうかがう「官僚主導」の危うさを官僚自らが認識していたことになる。
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※東京新聞朝刊 2009年10月5日 より。



今回の仕分けは妥当なものだと思います。

出来ればその予算を国際活動教育隊に回してもらいたいくらいです。

 今日の軍隊は、自国防衛のみを仕事にしていません。国際社会の平和維持に参加して混乱の芽を早めに摘むことも求められています。

 国際平和協力活動は戦争と同じくらい、常に政治的状況を考慮して行われるもの、ぶっ放せば済むものでもないのです。そのため、常に参加する隊員を教育しておく必要があります。そして、治安維持に民生(生活)の安定などその仕事は多く、なおかつ重大なものです。

 予算を回してもらえれば民間団体との協同活動も可能になるでしょう。自衛隊が出来ること、民間団体が出来ることを互いに知ることが大切、そうすることで教育も充実し活動の幅も広がります。

武装解除

先日引退された野村前楽天監督は

「財を残すのは下 仕事を残すのは中 人を残すのは上となす」

と言われました。どうか「人を残す」ために予算を使って頂きたいと願います。




がんばれ日本!自衛隊!

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最後までお読み戴きありがとうございます。またいらしてくださいね。ヽ(´ー`)ノ。o○(ア)(リ)(ガ)(ト)(ウ)




国際活動教育隊International Peace Cooperation Activities Training Unit (IPCATng)
http://www.mod.go.jp/gsdf/crf/pa/

国際活動教育隊HP
http://www.mod.go.jp/gsdf/crf/ipca/unit_main-j/unit_main-j.htm

国際平和協力センター建設へ(公明新聞)
http://www.komei.or.jp/news/2007/0829/9534.html

民主 以前は設立提言 平和協力センター『廃止』 防衛省事業
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009112402000203.html

事業番号3-43 国際平和協力センター
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov24kekka/3-43.pdf

この記事へのコメント

  • 故郷求めて

    この仕分けについては妥当だと思っていたけど、調べるのが面倒なので詳細レポート助かりました。

    公明党ね・・・携帯の番号ポータビリティとか、バカな予算は公明党が結構出してましたね。
    2009年12月03日 18:29
  • うさぎの耳

    故郷求めてさん 

    コメントありがとうございます。

    さすがは公明党という感じの予算要求だと思いました。物を作ればもう満足ってことでしょう。隊員にお金を回してもらいたいものですね。

    >公明党ね・・・携帯の番号ポータビリティとか、バカな予算は公明党が結構出してましたね。

    ありましたね。この制度、今は使う人はいないでしょうね。メールアドレスを移行できるほうが余程便利でした。
    2009年12月03日 20:41
  • gennkikiyosi

    2010年3月26日に事業仕分けで廃止となったはずの
    「国際平和協力センター」ガ防衛大臣ニヨル省令デ成立!
     統合幕僚学校(中目黒防衛省施設内)の下になぜ?
    陸海空の自衛隊が一体となって海外へ?これって戦争協力では
     この「国際平和協力センター」には、疑問の点が少なくありません。
    国際平和協力活動をまず軍事の問題ととらえ、自衛隊に教育、研修、広報、展示活動のセンターを置くという点。平和を国是とする日本で、なぜまず軍事からか? NGO関係者に自衛隊の機関に来てもらって軍事優先で教育・研修するなどというのは、ものごとの順序が狂っているのではないか?
    中央即応集団のひとつである静岡県御殿場の駒門にある「国際活動教育隊」の軽部隊長は、「将来的には駒門と目黒は『日本版PKOセンター』の役割を担うことになる」と機関誌「朝雲」で言っています。中央即応集団(日本版海兵隊)と一体となって海外派兵の作戦本部になるのではと疑問がふくらみます。
    しかも、それを田母神俊雄前学校長の薫陶を受けた統合幕僚学校の下に置くという点。「日本が侵略国家だったというのは濡れ衣である」と過去の侵略戦争を肯定し、「日本は核武装を考えるべき」と言って自衛を踏み越える、そういう考え方で教育、研修、広報、展示活動を行なわれては困ります。
    自衛隊を紛争地域であるイラクに派遣するのは憲法違反とした「名古屋高裁判決」もあります。イラクなど戦闘地域への派遣を肯定的に把えたうえ、そのような考え方に沿って教育・研修・広報・展示を行なうのは、問題ではないか。……等です。
    「イラク特措法」「テロ特措法」「PKO法」「国際緊急援助活動」などに加えて「ソマリア沖への自衛隊派遣」。更に「海外派兵恒久法の設定」と憲法九条の改悪を先取りした事態が先行しています。
     また、改築される研究センターでは、防護服などの開発・研究も行うそうですが、炭疽菌やサリンガスなど、レベル4の危険物を取り扱って、人口が密集した周辺地域に漏れ出したりする恐れは無いのか、不安の声もあります。納豆菌や塩の細粒を用いるのでまったく安全と言いますが、過去にプルトニュウムの存在を隠したりしたという経歴をもつところです。敷地内にある図書館(防衛関連資料を所蔵)の閲覧者を追跡調査するなど、隠蔽と防諜。こんなところに「国際平和協力センター」とは、不安でしかありません。

    2010年06月11日 23:35

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